食品、電気代、鉄道運賃まで…日銀黒田総裁の予想に反し来年も「値上げラッシュ」イヤーに
春も値上げは続く。東北電力と中国電力は先週、家庭向け料金について30%以上の値上げを経産省に申請。東電の他、北陸、四国、沖縄の各電力も近く申請する。政府の電気代支援2割を大きく上回る幅だ。経産省は幅の圧縮を求めるとみられるが、春以降、電気代支援は“帳消し”になる公算が高い。
さらに痛いのが鉄道運賃だ。JRや私鉄各社は10円の値上げを打ち出している。首都圏が来年3月、関西が4月からの実施だ。バリアフリー整備の費用としたり、オフピーク料金を導入する会社もあるが、値上げには変わりない。
「コロナ禍でテレワークの浸透など人の移動需要は大きく減りました。この先もコロナ前に戻ることはなく、採算が悪化した鉄道会社は値上げをせざるを得なかった。鉄道運賃の値上げは影響が大きい。旅行や外出などの個人消費を冷え込ませるし、社員の交通費を負担する企業も大幅なコストアップになります。景気後退につながる恐れがあります」(井上学氏)
日銀の黒田総裁は「物価上昇率は年明け以降、徐々に低下する」(今月14日の名古屋での講演)と語っていたが、来年も「値上げラッシュ」に見舞われそうだ。