著者のコラム一覧
有森隆経済ジャーナリスト

早稲田大学文学部卒。30年間全国紙で経済記者を務めた。経済・産業界での豊富な人脈を生かし、経済事件などをテーマに精力的な取材・執筆活動を続けている。著書は「企業舎弟闇の抗争」(講談社+α文庫)、「ネットバブル」「日本企業モラルハザード史」(以上、文春新書)、「住友銀行暗黒史」「日産独裁経営と権力抗争の末路」(以上、さくら舎)、「プロ経営者の時代」(千倉書房)など多数。

大正製薬HD(上)過去最大のMBOは祖父・父から子への相続が狙いか

公開日: 更新日:

 株式市場で自発的に上場を廃止する企業が増えてきた。東京証券取引所が企業に株価を意識した経営に取り組むよう要請、PBR(株価純資産倍率)1倍割れの企業に改善を求めたことが背景にある。物言う株主からの利益の還元圧力が強まり、上場を維持していくためのコストが増えている。MBO(経営陣が参加する買収)に動く企業が目立つのは、物言う株主に経営を左右されたくないという創業者の強い思いがある。

 2023年11月10日、通信教育の進研ゼミを運営するベネッセホールディングス(HD)がMBOを行い、上場廃止にすると発表した。買収金額は2700億円と大きく報道された。

 11月24日、大衆薬の最大手、大正製薬HD(東証スタンダード上場)が、MBOを公表した。普通株式の買い付け総額は7100億円。日本企業のMBOでは過去最大だ。

 オーナー家の出身で、上原明社長(82)の長男、茂副社長(47、傘下の大正製薬社長)が設立した買収目的会社の大手門がTOB(株式公開買い付け)を行う。

 買い付け期間は11月27日~24年1月15日。価格は1株8620円で、TOB公表前の終値5515円に56.30%のプレミアムを付けた。普通株式で66.57%を上回る応募があることがTOBの成立条件で、全株式を取得する。買収資金はメインバンクの三井住友銀行からの借り入れで賄う。証券関係者によると、5割以上のプレミアムだが、それでも18年の高値を4割下回っている。

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    安青錦は大関昇進も“課題”クリアできず…「手で受けるだけ」の立ち合いに厳しい指摘

  2. 2

    阿部巨人に大激震! 24歳の次世代正捕手候補がトレード直訴の波紋「若い時間がムダになっちゃう」と吐露

  3. 3

    マエケン楽天入り最有力…“本命”だった巨人はフラれて万々歳? OB投手も「獲得失敗がプラスになる」

  4. 4

    中日FA柳に続きマエケンにも逃げられ…苦境の巨人にまさかの菅野智之“出戻り復帰”が浮上

  5. 5

    今田美桜に襲い掛かった「3億円トラブル」報道で“CM女王”消滅…女優業へのダメージも避けられず

  1. 6

    高市政権の“軍拡シナリオ”に綻び…トランプ大統領との電話会談で露呈した「米国の本音」

  2. 7

    エジプト考古学者・吉村作治さんは5年間の車椅子生活を経て…80歳の現在も情熱を失わず

  3. 8

    日中対立激化招いた高市外交に漂う“食傷ムード”…海外の有力メディアから懸念や皮肉が続々と

  4. 9

    安青錦の大関昇進めぐり「賛成」「反対」真っ二つ…苦手の横綱・大の里に善戦したと思いきや

  5. 10

    石破前首相も参戦で「おこめ券」批判拡大…届くのは春以降、米価下落ならありがたみゼロ