大正製薬HD(上)過去最大のMBOは祖父・父から子への相続が狙いか
大正製薬HDは11月24日、TOBへの賛同を表明。株主に応募を推奨した。合計で40%超を保有している創業家はTOBへ応募を決めている。
MBOは上原明社長と茂副社長が提案した。新型コロナを契機に医薬品・ヘルスケアビジネス市場が大きく変貌したことに加え、医薬品事業は厳しい事業環境の中、中長期的な目線での経営の舵取りが不可欠だ、と判断した。
大正製薬HDは一般医薬品(大衆薬)の最大手で風邪薬「パブロン」やドリンク剤「リポビタンD」などが高い知名度を誇り、ドラッグストアなど店頭販売が中心だ。
今後は大衆薬のネット販売に向けたインフラの整備や、グローバル化するためには同業他社や医家向け製品を製造する企業を買収することが必要になる。これには大きなリスクが伴い、買収を検討する時間が要る。短期的な株価上昇や利益の配分を求める株主の支持を得るのは難しい、というのがMBOを決断した理由だ。
9月までに早期退職優遇制度で645人が退職し、スリム化にも取り組んでいる。
■関連記事
-
語り部の経営者たち クリーク・アンド・リバー社 井川幸広会長(7)出資ベンチャー元日野自動車会長の下義生氏が采配を振るうワケ
-
語り部の経営者たち クリーク・アンド・リバー社 井川幸広会長(6)事業は「ロマンと算盤」のバランス 消滅危機のサガン鳥栖の再生へ
-
語り部の経営者たち クリーク・アンド・リバー社 井川幸広会長(4)フリーランスの権利とギャラを守るために90年に29歳で創業
-
クルマは乗らなきゃ語れない ポルシェ911初のハイブリッド 新型GTSは電動エコ化にあらず、規格外のドリフトマシン化だった!
-
経済ニュースの核心 アパレル世界2位のH&Mを猛追! 絶好調ファーストリテイリング・柳井正会長の“後継者選び”で注目の動きが