能登半島地震でベンチャーが「ITボランティア」 自動チャットサービス無償提供で被災者救済

公開日: 更新日:

サービス実現の3つのポイント

 このチャットサービスが実現した背景には3つのポイントがある。

 まず、内閣府の「被災者支援に関する各種制度の概要」がPDF化されており、その利用実態も知っていたこと。

「被災者支援で使える制度はかなり多くありますが、被災者や自治体もどの制度が適用できるか知らない。しかも申請主義なので、被災者本人が知らないと申請できない」

 そう話す村井氏は、元衆院議員。東日本大震災時には衆院災害対策特別委員長を務めていた。その経験から、被災者支援の実態に詳しく、これまでも自治体の防災DXを手がけてきた。

 次はPDFを短時間で読み込みAIチャットボットに落とし込む技術。これは村井氏と仕事上のつながりがあるReAlice(東京、船木駿社長)が無償で手がけた。

 今回、こなれた文章で回答する生成AIではなく、検索結果だけを表示する検索型AIを使ったことには理由がある。

「生成AIだと、PDFを要約してほかの情報まで読み込み嘘をついてしまう可能性があった」(船木氏)

 最後は地域密着でサービスを提供できる存在。これはNan Naruが担ったわけだ。「現在、富山県内の自治体もホームページにチャットのバナーを貼ってくれている」(村井氏)とも。

 被災証明を受けるため重要なことがある。現状の被災した証拠写真を撮っておくこと。これがないとせっかくの制度も利用できない。

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    高画質は必要ない? 民放各社が撤退検討と報じられた「BS4K」はなぜ失敗したのですか?

  2. 2

    気温50度の灼熱キャンプなのに「寒い」…中村武志さんは「死ぬかもしれん」と言った 

  3. 3

    広陵暴力問題の闇…名門大学の推薦取り消し相次ぎ、中井監督の母校・大商大が「落ち穂拾い」

  4. 4

    巨人阿部監督はたった1年で崖っぷち…阪神と藤川監督にクビを飛ばされる3人の監督

  5. 5

    (4)指揮官が密かに温める虎戦士「クビ切りリスト」…井上広大ら中堅どころ3人、ベテラン2人が対象か

  1. 6

    U18日本代表がパナマ撃破で決勝進出!やっぱり横浜高はスゴかった

  2. 7

    日本ハム・レイエスはどれだけ打っても「メジャー復帰絶望」のワケ

  3. 8

    志村けんさん急逝から5年で豪邸やロールス・ロイスを次々処分も…フジテレビ問題でも際立つ偉大さ

  4. 9

    佐々木朗希いったい何様? ロッテ球団スタッフ3人引き抜きメジャー帯同の波紋

  5. 10

    (2)事実上の「全権監督」として年上コーチを捻じ伏せた…セVでも今オフコーチ陣の首筋は寒い