著者のコラム一覧
小林佳樹金融ジャーナリスト

銀行・証券・保険業界などの金融界を40年近く取材するベテラン記者。政界・官界・民間企業のトライアングルを取材の基盤にしている。神出鬼没が身上で、親密な政治家からは「服部半蔵」と呼ばれている。本人はアカデミックな「マクロ経済」を論じたいのだが、周囲から期待されているのはディープな「裏話」であることに悩んで40年が経過してしまった。アナリスト崩れである。

LIXILが今度は48億円の損失計上…潮田前会長の負の遺産にいまだ苦しむ

公開日: 更新日:

 その後、トップに返り咲いた瀬戸氏は、シェア重視で買収に奔走した潮田路線を転換、潮田氏が主導した持ち株会社も解消した。しかし、負の遺産は残ったままだ。

 LIXILは過去、潮田氏の買収案件で大やけどを負っている。3800億円の大枚を投じて買収した独グローエの中国子会社であるジョウユウで不正会計が発覚、660億円の損失を計上した。上海美特カーテンウォールで出した損失は数百億円。それ以外の中国、インド事業でも現地人に経営を任せたことが災いして手痛い目に遭った。損失の合計は1000億円を超えるとみられる。

 中には瀬戸氏の前任で、元ゼネラル・エレクトリック上級副社長の藤森義明氏がLIXILグループのCEOだった時に手掛けた買収案件もあるが、実質的な意思決定権者は潮田氏。そのご仁が懲りずに進軍ラッパを吹いた。

 今回、損失計上につながったペルマスティリーザについても、LIXILの主要事業であるサッシやトイレは売り切り型。一方、ペルマが手掛けるカーテンウォールは、収益を数年がかりで計上するため、売り切り型に比べてリスクが高い。そこで瀬戸氏はLIXILの業績を安定させるために売却したのだが、残滓となっていまも首を絞めている。

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    ドジャース佐々木朗希の心の瑕疵…大谷翔平が警鐘「安全に、安全にいってたら伸びるものも伸びない」

  2. 2

    ドジャース「佐々木朗希放出」に現実味…2年連続サイ・ヤング賞左腕スクーバル獲得のトレード要員へ

  3. 3

    ドジャース大谷翔平32歳「今がピーク説」の不穏…来季以降は一気に下降線をたどる可能性も

  4. 4

    ギャラから解析する“TOKIOの絆” 国分太一コンプラ違反疑惑に松岡昌宏も城島茂も「共闘」

  5. 5

    巨人が李承燁コーチ就任を発表も…OBが「チグハグ」とクビを傾げるFA松本剛獲得の矛盾

  1. 6

    国分太一問題で日テレの「城島&松岡に謝罪」に関係者が抱いた“違和感”

  2. 7

    今度は横山裕が全治2カ月のケガ…元TOKIO松岡昌宏も指摘「テレビ局こそコンプラ違反の温床」という闇の深度

  3. 8

    国分太一“追放”騒動…日テレが一転して平謝りのウラを読む

  4. 9

    ドジャース首脳陣がシビアに評価する「大谷翔平の限界」…WBCから投打フル回転だと“ガス欠”確実

  5. 10

    大谷翔平のWBC二刀流実現は絶望的か…侍J首脳陣が恐れる過保護なドジャースからの「ホットライン」