自民・茂木幹事長に選挙資金「二重計上」疑惑…政治資金“脱法スキーム”は外相時代から常態化

公開日: 更新日:

1億2000万円の「使途不明金」

 もっとも、茂木幹事長の「政治とカネ」疑惑は今に始まった話ではない。外相だった20年には、茂木幹事長の後援団体である「茂木敏充後援会総連合会」で16~19年、詳細不明の支出が計1億2000万円超に上ったことを共同通信に報じられた。総連合会の同期間の収入は計1億3120万円で、茂木幹事長が代表を務める資金管理団体からの寄付が99.9%を占めた。総連合会の支出のほぼ全てが使途不明だったのである。

 カラクリは以下のようなものだ。政治資金規正法は、国会議員が代表を務める資金管理団体については、1件1万円超の支出を収支報告書に記載するよう義務付けているが、その他の後援団体に関しては1件5万円以上の支出のみを記載義務の対象としている。つまり、茂木事務所は記載義務が厳格な資金管理団体から、記載義務が緩い後援団体にカネを移し、支出を“隠蔽”したも同然なのだ。

 当時、問題視されたのに、茂木幹事長はその後も脱法的な“支出隠し”を継続。日刊ゲンダイが20~22年の収支報告書をチェックしたところ、やはり資金管理団体は総連合会に計9650万円を寄付。総連合会は大半の支出を記載していない状態だ。

 まだある。経済再生相だった17年には、地元選挙区内の有権者に衆院手帳や線香を配布した公職選挙法違反疑惑が飛び出した。公選法は、議員や候補者が有権者に線香1本でも配ることを禁じている。寄付について「氏名を表示し、または氏名が類推されるような方法でしてはならない」と定めている。国会で追及された茂木幹事長は「秘書が配布した」「配った物に私の名前は入っていない」と疑惑を否定。

 ところが、当時、日刊ゲンダイ記者は茂木幹事長の選挙区の有権者から「茂木さんからの頂き物だと思っています」といった証言を得ている。真相は、今なおハッキリしないままだ。

 茂木幹事長の政治資金の脱法処理は常態化しているということ。そんな男が幹事長として、裏金事件を受けた「政治改革」を進めるなんて、悪い冗談だ。

「茂木幹事長は裏金事件について『当事者に説明責任を果たしてもらいたい』と言いましたが、自分の問題も説明できない人物に政治改革など無理でしょう。過去の疑惑も含めて、キチンと説明責任を果たすべきです」(高千穂大教授・五野井郁夫氏=国際政治学)

「事務的ミス」「秘書が配った」なんて言い訳は、とても通用しない。

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • トピックスのアクセスランキング

  1. 1

    進次郎農相の「500%」発言で抗議殺到、ついに声明文…“元凶”にされたコメ卸「木徳神糧」の困惑

  2. 2

    進次郎大臣は連日の視察とTV出演で大ハシャギ…ムチャぶりされる農水省は“ブラック企業化”のお気の毒

  3. 3

    ドン・キホーテが進次郎農相に異例の「直訴」…コメ流通は消費者ファーストではないのか? 識者が解説

  4. 4

    三井化学が石油化学事業を分社化…その先で描くのは過剰な同業他社との再編だ

  5. 5

    大阪万博は値下げ連発で赤字まっしぐら…今度は「駐車場料金」を割引、“後手後手対応”の根本原因とは

  1. 6

    自公政権の無策で失われていく庶民の味…「カレー」「ラーメン」「焼き肉」「洋菓子」「ステーキ」すべて倒産件数最多

  2. 7

    6月15日に開催G7サミットはトランプ関税で「会議は踊る、されど進まず」状態に

  3. 8

    進次郎農相「コメ卸業者が営業利益500%増」発言で飛び交う「価格カルテル」疑惑と「コメの先物取引」で懸念されていたこと

  4. 9

    「プーチン心停止で影武者代行」情報…訪中大失敗のストレス、ロ国内に広がる大統領5選は無理の空気

  5. 10

    マツキヨココカラ×コスモス薬品 節約生活の味方ドラッグストア大手を比較

もっと見る

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    ドジャース佐々木朗希に向けられる“疑いの目”…逃げ癖ついたロッテ時代はチーム内で信頼されず

  2. 2

    ドジャース佐々木朗希の離脱は「オオカミ少年」の自業自得…ロッテ時代から繰り返した悪癖のツケ

  3. 3

    注目集まる「キャスター」後の永野芽郁の俳優人生…テレビ局が起用しづらい「業界内の暗黙ルール」とは

  4. 4

    柳田悠岐の戦線復帰に球団内外で「微妙な温度差」…ソフトBは決して歓迎ムードだけじゃない

  5. 5

    女子学院から東大文Ⅲに進んだ膳場貴子が“進振り”で医学部を目指したナゾ

  1. 6

    大阪万博“唯一の目玉”水上ショーもはや再開不能…レジオネラ菌が指針値の20倍から約50倍に!

  2. 7

    ローラの「田植え」素足だけでないもう1つのトバッチリ…“パソナ案件”ジローラモと同列扱いに

  3. 8

    ヤクルト高津監督「途中休養Xデー」が話題だが…球団関係者から聞こえる「意外な展望」

  4. 9

    “貧弱”佐々木朗希は今季絶望まである…右肩痛は原因不明でお手上げ、引退に追い込まれるケースも

  5. 10

    備蓄米報道でも連日登場…スーパー「アキダイ」はなぜテレビ局から重宝される?