石破首相vsトランプ大統領の直接交渉は早くも敗色濃厚…「関税撤廃→引き下げ」に方針転換か

公開日: 更新日:

「国益を損ねることはない」──。日米関税交渉を巡り、そう繰り返してきた石破首相。カナダ西部のカナナスキスで開かれるG7サミット(現地時間16、17日)に出席するため、15日夜、政府専用機で飛び立った。サミットに合わせて開催予定の日米首脳会談が焦点のひとつだが、トランプ米大統領への直談判は早くも「敗色濃厚」だ。

  ◇  ◇  ◇

 石破首相が全幅の信頼を寄せる交渉担当の赤沢経済再生相は13日の日米両首脳の電話協議後、米ワシントンで4週連続、通算6回目の閣僚級協議を実施。ラトニック商務長官と約70分間、ベッセント財務長官とは約45分間会談し、終了後は記者団に「非常に突っ込んだやりとりを行い、合意の可能性を探った」と胸を張った。

 一方、G7での日米首脳会談で合意に至るかどうかについては「予断を持って話すことは控える」とけむに巻き、トランプ関税の全廃要求に関しては「強く申し入れた」という従来の主張から一転、明言を避けた。10日の閣議後会見で語っていた「(合意の)道筋は五里霧中」との認識から何らかの進展があった様子はうかがえず、「撤廃」よりもむしろ「引き下げ」を求める戦略に転換した可能性がある。

 赤沢氏は交渉の詳細を明らかにしないが、自身のXでは〈ハワード・ラトニック商務長官とはお互いを「ハワード」、「リオ」と呼び合う仲に!〉と大ハシャギ。交渉相手との親密アピールにいそしんでいるようでは、最大の争点である自動車関税の先行きも思いやられる。

 日本側は「自動車の市場開放」を求めるトランプ大統領に対し、輸入車への審査を簡素化する「自動車特別取扱制度」(PHP)の対象台数の引き上げや米国産の日本車の逆輸入などを提案してきた。しかし、米国側の食いつきはイマイチ。赤沢氏がガキの使いよろしく“アメリカ詣で”を重ねてきたのに、トランプ大統領は自動車関税について「近い将来、(25%から)引き上げるかもしれない」とまで言い出した。

最新の政治・社会記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • 政治のアクセスランキング

  1. 1

    さすがチンピラ政党…維新「国保逃れ」脱法スキームが大炎上! 入手した“指南書”に書かれていること

  2. 2

    国民民主党の支持率ダダ下がりが止まらない…ついに野党第4党に転落、共産党にも抜かれそうな気配

  3. 3

    農水省ゴリ押し「おこめ券」は完全失速…鈴木農相も「食料品全般に使える」とコメ高騰対策から逸脱の本末転倒

  4. 4

    維新の政権しがみつき戦略は破綻確実…定数削減を「改革のセンターピン」とイキった吉村代表ダサすぎる発言後退

  5. 5

    片山さつき財務相の居直り開催を逆手に…高市首相「大臣規範」見直しで“パーティー解禁”の支離滅裂

  1. 6

    「おこめ券」迫られる軌道修正…自治体首長から強烈批判、鈴木農相の地元山形も「NO」突き付け

  2. 7

    「核兵器保有すべき」放言の高市首相側近は何者なのか? 官房長官は火消しに躍起も辞任は不可避

  3. 8

    臨時国会きょう閉会…維新「改革のセンターピン」定数削減頓挫、連立の“絶対条件”総崩れで手柄ゼロ

  4. 9

    脆弱株価、利上げ報道で急落…これが高市経済無策への市場の反応だ

  5. 10

    自維政権に不協和音…定数削減、OTC類似薬めぐり焦りイラつく維新の無責任さを自民がチクリ

もっと見る

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    出家否定も 新木優子「幸福の科学」カミングアウトの波紋

  2. 2

    中学受験で慶応普通部に進んだ石坂浩二も圧倒された「幼稚舎」組の生意気さ 大学時代に石井ふく子の目にとまる

  3. 3

    さすがチンピラ政党…維新「国保逃れ」脱法スキームが大炎上! 入手した“指南書”に書かれていること

  4. 4

    ドジャース「佐々木朗希放出」に現実味…2年連続サイ・ヤング賞左腕スクーバル獲得のトレード要員へ

  5. 5

    ギャラから解析する“TOKIOの絆” 国分太一コンプラ違反疑惑に松岡昌宏も城島茂も「共闘」

  1. 6

    中日からFA宣言した交渉の一部始終 2001年オフは「残留」と「移籍」で揺れる毎日を過ごした

  2. 7

    有本香さんは「ロボット」 どんな話題でも時間通りに話をまとめてキッチリ終わらせる

  3. 8

    巨人は国内助っ人から見向きもされない球団に 天敵デュプランティエさえDeNA入り決定的

  4. 9

    放送100年特集ドラマ「火星の女王」(NHK)はNetflixの向こうを貼るとんでもないSFドラマ

  5. 10

    佐藤輝明はWBC落選か? 大谷ジャパン30人は空前絶後の大混戦「沢村賞右腕・伊藤大海も保証なし」