中東から見たアジアの経済的優先度 日本は中国・韓国・インドに次ぐ4位…なぜ2年でトップから陥落?

公開日: 更新日:

日本はサウジアラビアから足蹴にされている

 あるサウジアラビアの経済誌が、同国におけるアジア各国との経済関係の優先順位を発表しています。1位中国、2位韓国、3位インド、そして4位が日本です。かつて1位だった日本は、たった2年間で4位まで転落してしまっています。
 
 この結果は、信頼関係と置き換えるとより分かりやすいでしょう。中国、韓国、インドよりも信頼できないと見なされている。アメリカとべったりの日本は、今やアメリカに反旗を翻したサウジアラビアにとって、信頼の置けない友人に映ってしまうわけです。

 アメリカ大統領のバイデン氏はOPECプラスに石油の増産を持ち掛けました。日本も原油価格高騰を受け、主要産油国に増産を働き掛けたのですが、サウジアラビアのアブドルアジズ・エネルギー相は「聞いていない」と一蹴したというニュースがありました。

 萩生田経済産業相(当時)は「先週末にレター(書簡)を送った」と反論しましたが、返す刀でアブドルアジズ氏は、「日本の新しい大臣が就任したときにお祝いの電話を掛けたが(つながらず)、折り返しの電話もない」と暴露した。このとき、現地では「日本は返信ができない法律でもあるのか?」と揶揄されていたといいます。

 このように、日本はサウジアラビアから足蹴にされているわけです。一方で、中国は「ようこそ」と熱烈に歓迎されている。日本は、外交面において中国のはるか後方にいると自覚したほうがいいでしょう。

 そして、かつては圧倒的に人気の高かった日本のメーカー商品は、今や韓国にお株を奪われているのが現状です。トヨタ人気こそ健在ですが、日本の製品は軒並み力をなくしています。日本製の製品はクオリティーこそ高いのですが、価格が高い。そのため、現在サウジアラビアやUAEでは、同じくらいのクオリティーを誇り、それでいて値段も手ごろな韓国製品に市場を占拠されてしまっています。

 韓国は官民の連携がとても上手で、KーPOPを筆頭にモノやトレンドを世界に展開する重要性を理解しています。世界的に大ヒットしたNetflixの『イカゲーム』は、中東でも大人気になっているそうです。2021~2022年に開催されたドバイ万博の韓国パビリオンでは『イカゲーム』のコンテンツを急遽追加するなど、率先して自国の強みを発信する姿勢がある。

 中東における存在感が、中国、韓国、インド以下である日本には、中東諸国から石油が入ってこなくなる。そんな日が来てもおかしくありません。だからこそ、日本が取るべきは全方位外交です。

 アメリカにべったりでは、新しい経済圏から総スカンを食らってしまう可能性がある。アメリカとほどよく付き合い、アメリカと仲がよくない国ともきちんと関係値を高めること。中東の「これから」は、世界情勢を鑑みたときものすごく大きな意思決定に関わってきます。中東のキープレーヤーが次々と脱アメリカを掲げていることは、歴史的に見ても大きな変革期を表していると言っていい。その中で、日本はどうすればいいのか。翻って、僕はここにこそ日本の成長の可能性があると思っています。

 中東は、ヨーロッパとアジアとアフリカの大陸のつなぎ目にある重要なエリアです。アメリカのプレゼンスが急速に弱まり、中国やロシアが台頭する。これまでの中東の100年に鑑みれば、考えられなかったことが起こり始めています。日本は、外交的にも経済的にも、これからを視野に入れた新しい関係性を構築することが急務なのです。

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    ドジャース佐々木朗希の心の瑕疵…大谷翔平が警鐘「安全に、安全にいってたら伸びるものも伸びない」

  2. 2

    ドジャース「佐々木朗希放出」に現実味…2年連続サイ・ヤング賞左腕スクーバル獲得のトレード要員へ

  3. 3

    ドジャース大谷翔平32歳「今がピーク説」の不穏…来季以降は一気に下降線をたどる可能性も

  4. 4

    ギャラから解析する“TOKIOの絆” 国分太一コンプラ違反疑惑に松岡昌宏も城島茂も「共闘」

  5. 5

    巨人が李承燁コーチ就任を発表も…OBが「チグハグ」とクビを傾げるFA松本剛獲得の矛盾

  1. 6

    国分太一問題で日テレの「城島&松岡に謝罪」に関係者が抱いた“違和感”

  2. 7

    今度は横山裕が全治2カ月のケガ…元TOKIO松岡昌宏も指摘「テレビ局こそコンプラ違反の温床」という闇の深度

  3. 8

    国分太一“追放”騒動…日テレが一転して平謝りのウラを読む

  4. 9

    ドジャース首脳陣がシビアに評価する「大谷翔平の限界」…WBCから投打フル回転だと“ガス欠”確実

  5. 10

    大谷翔平のWBC二刀流実現は絶望的か…侍J首脳陣が恐れる過保護なドジャースからの「ホットライン」