備蓄米放出でも政府はコメ価格を下げる気なし…識者が見解「相場を維持したい」思惑とは

公開日: 更新日:

令和の米騒動」といわれた昨年の夏、秋の新米シーズンになれば価格は落ち着くはず……。そう思われたが、年が明けても価格は落ち着くどころか、2月からさらに上がりだす始末。

 コメ価格の高騰を受けて、先月31日、政府はようやく備蓄米の放出を発表。江藤農相は7日に早期実施の考えを表明した。これで米騒動は収束するかと思いきや、そうはならないというのだ。

 不作や災害など、緊急時に放出される政府備蓄米は、毎年1~6月に入札した売り渡し申し込み資格を持つ業者(JAや集荷業者)が、農家から集荷したものをストックしている。その一部が今回JAなどの集荷業者を通じて市場に供給されるのだが、放出した同量のコメを政府は1年以内に買い戻さなければいけない。

「一時的に市場に貸し出す形です。現在、業者間で60キロ=4万~5万円で取引されているコメの上限価格は、これによって3割ほど下がるといわれています。しかし、一般的に食べられているコメの価格は変わらないとみていいでしょう」(米流通評論家の常本泰志氏)

 通常、備蓄米の落札価格は他に比べて安値で推移するが、今年、農家に前払いするJAの概算金が昨年より高くなる見通し。そのため、備蓄米の落札価格もそれに連れ高する可能性が高いという。

「備蓄米は毎年17万トンほど買い上げられますが、今年は17万トン+放出分を政府が買い上げることになります。令和7年産の備蓄米の落札価格がJA概算金を下回れば、農家からの集荷が困難になるので、必然的に価格は上昇することになるでしょう」(常本氏)

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • トピックスのアクセスランキング

  1. 1

    トリプル安で評価一変「サナエノリスク」に…為替への口先介入も一時しのぎ、“日本売り”は止まらない

  2. 2

    高市政権の物価高対策「自治体が自由に使える=丸投げ」に大ブーイング…ネットでも「おこめ券はいらない!」

  3. 3

    物価高放置のバラマキ経済対策に「消費不況の恐れ」と専門家警鐘…「高すぎてコメ買えない」が暗示するもの

  4. 4

    新米売れず、ささやかれる年末の米価暴落…コメ卸最大手トップが異例言及の波紋

  5. 5

    ホタテ漁で栄華を極めた北海道猿払村は中国への輸出停止でどうなった?漁師はメディアに“警戒モード”

  1. 6

    飛び交う玉木雄一郎代表「12月辞任説」…国民民主党ついに倫理委員会で“グラドル不倫”調査

  2. 7

    麻生太郎氏に「10月政界引退説」 派閥の「裏金疑惑」拡大で窮地…気づけば孤立無援

  3. 8

    防衛網は大丈夫か? 危惧される日本のデジタル脆弱性…競争力ランクは中国、韓国より下位

  4. 9

    ペヤングソースやきそば(まるか食品)これまで投入した味は600品以上 2020年発売「モノホントンコツMAX」の評判は…

  5. 10

    関西電力の新経営計画は不十分と“NO”を突きつけたエリオットの狙い

もっと見る

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    嵐ラストで「500億円ボロ儲け」でも“びた一文払われない”性被害者も…藤島ジュリー景子氏に問われる責任問題

  2. 2

    トリプル安で評価一変「サナエノリスク」に…為替への口先介入も一時しのぎ、“日本売り”は止まらない

  3. 3

    27年度前期朝ドラ「巡るスワン」ヒロインに森田望智 役作りで腋毛を生やし…体当たりの演技の評判と恋の噂

  4. 4

    今田美桜に襲い掛かった「3億円トラブル」報道で“CM女王”消滅…女優業へのダメージも避けられず

  5. 5

    安青錦の大関昇進めぐり「賛成」「反対」真っ二つ…苦手の横綱・大の里に善戦したと思いきや

  1. 6

    元TOKIO松岡昌宏に「STARTO退所→独立」報道も…1人残されたリーダー城島茂の人望が話題になるワケ

  2. 7

    今田美桜が"あんぱん疲れ"で目黒蓮の二の舞いになる懸念…超過酷な朝ドラヒロインのスケジュール

  3. 8

    織田裕二「踊る大捜査線」復活までのドタバタ劇…ようやく製作発表も、公開が2年後になったワケ

  4. 9

    「嵐」が2019年以来の大トリか…放送開始100年「NHK紅白歌合戦」めぐる“ライバルグループ”の名前

  5. 10

    実は失言じゃなかった? 「おじいさんにトドメ」発言のtimelesz篠塚大輝に集まった意外な賛辞