日米関税引き下げは「合意文書なし」の口約束…チラつくトランプ大統領の“ちゃぶ台返し”
日本側は、米国産牛・豚肉への関税を環太平洋パートナーシップ協定(TPP)並みの水準に引き下げ、米国に譲歩。代わりに日本の自動車・自動車部品に追加関税は課されないはずだった。
ところが、第2次トランプ政権はちゃぶ台を返して追加関税を発動。石破政権は協定違反すら指摘せず、ひたすら「重大な懸念」の表明を繰り返した。
翻って、今回の合意内容も口約束である。早くも日米双方の主張が食い違う中、同じ失敗の轍を踏むのではないか。元外交官で平和外交研究所代表の美根慶樹氏が言う。
■米国とは同床異夢
「交渉ごとでは普通、齟齬を防ぐために文書をきっちり作ります。世界中と交渉する米国と細部まで詰める余裕はなかったのかもしれませんが、それにしても妙な合意です。ハッキリしない部分があっても『合意は合意である』と発表することで、将来的に内容がひっくり返っても言い逃れできるとの考えが日本政府にはあるのではないか。あくまでも米国とは同床異夢である、と。ただ、合意内容が変わった場合、果たして国民に説明できるのでしょうか」