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高野孟
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高野孟ジャーナリスト

1944年生まれ。「インサイダー」編集長、「ザ・ジャーナル」主幹。02年より早稲田大学客員教授。主な著書に「ジャーナリスティックな地図」(池上彰らと共著)、「沖縄に海兵隊は要らない!」、「いま、なぜ東アジア共同体なのか」(孫崎享らと共著」など。メルマガ「高野孟のザ・ジャーナル」を配信中。

TPPで「農林水産物の輸出が増える」は悪質な虚偽である

 9月26日の所信表明演説で安倍晋三首相は「TPPの早期発効を大きなチャンスとして、農林水産物輸出の1兆円目標の早期達成を目指す。おいしくて安全な日本の農林水産物を世界に売り込みます」と強調した。野党の農林系議員がこう言って首をかしげる。

「今国会の最大課題がTPP承認だと言っている割には、それに触れたのはここだけ。しかもこの言い方では、TPPが発効すると日本からの農林水産物の輸出が増えるかのように聞こえる。何を言っているのか分からない」

 確かに、これでは何のためのTPPなのかを国民に説明したことにならない。第1に、TPPが農業との関わりで一番問題なのは、今でさえ農林水産物の輸入が9兆5000億円に達して食糧自給率を39%(カロリーベース)まで押し下げているというのに、今後、米国産や豪州産の安い米、牛肉、乳製品などがドッと入ってきて、輸入額が増えるくらいならまだしも、日本の農業や畜産業の基盤が破壊されかねないということである。そのことを農家も国民も心配しているというのに、安倍はそれには一言も触れない。

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