インド洋を巡り“トランプvs習近平”の覇権争いが始まった
トランプ米大統領が就任後初のアジア歴訪の長旅を終え、帰国した。日本を皮切りに、韓国、中国、ベトナム、フィリピンと10日間にわたって東アジア・西太平洋諸国を相次いで訪れ、APECやASEAN首脳会議にも出席。各国の首脳と北朝鮮問題への対応を取りつけながら、握手して回った。
なかでも世界の注目を浴びたのが米中首脳会談だ。習近平国家主席は5年に1度の党大会を終え、2期目に入って独裁体制を固めたばかり。トランプ大統領とのトップ会談でも、うまく立ち回ったように見えた。
その後、フィリピンで安倍首相とトランプ大統領は合流。ターンブル豪首相を交えた会談後に飛び出したのが、「自由で開かれたインド太平洋戦略」である。
安倍首相は「インド太平洋地域の自由で開かれた秩序を維持・強化し、緊密に連携したい」と語ったが、太平洋地域はともかく、日本のトップがインド洋にまで手を広げて「秩序の維持」に言及するのは珍しい。明らかに習主席が打ち出した「一帯一路」構想を意識した発言である。
陸路で中国から中央アジアを経て欧州へ続くシルクロード経済ベルトを「一帯」、南シナ海からインド洋を経て欧州へ向かう海上シルクロードを「一路」とする。習主席にはインフラ投資などを通じて中国圏を世界に広げる狙いがある。