武田賴政
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武田賴政ノンフィクション作家

1958年、浜松市生まれ。専門月刊誌「航空ジャーナル」を経て、88年にフリー。オウム真理教による坂本弁護士一家殺害事件の全容をスクープ。大相撲の八百長告発記事で「編集者が選ぶ雑誌ジャーナリズム大賞」受賞。新著「真・輪島伝 番外の人」を28日に上梓。

「空間識失調」の自覚なければ“パニック・ボタン”は無意味

公開日: 更新日:

 航空自衛隊が公表した事故機の航跡概要図によれば、管制官が三沢基地に近づく米軍機との距離をあけるため、降下するよう指示した際の高度は約9600メートル。細見彰里3等空佐操縦のF35A戦闘機は、約20秒後にはなんと4700メートルにまで急降下し、時速900キロに加速している。

 さらにここで管制官から左旋回を指示された事故機は、「knock it off」(訓練中止)を告げて旋回降下を深め、その約15秒後に時速1100キロという音速に近い速度で海面に激突している。

「F15戦闘機のマニュアルを参考にすると、訓練中止を告げた高度から6Gで引き起こせば助かったはずだが、彼は減速もしていない。米軍機の回避は急ぐ必要がない。細見3佐の操縦は考えられない動き」(元同僚)

 こうしたことから、推定事故原因として用いられたのが、「空間識失調」(バーティゴ)という一般には耳慣れない言葉だ。特に機動の激しい戦闘機パイロットにとって忌むべき航空生理現象である。

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