IR整備ではなく「カジノ賭博合法化」考えるべき3つの論点
政治が何か新しい政策を打ち出す時には、それが何を意味するかを主権者国民に分かりやすく提示するのが筋であろう。
ところが、政治は、真の論点を主権者国民に知らせずに決定を下しやすいように言葉のトリックを用いることがある。例えば「平和安全法制」である。従来の政府見解でも憲法9条の故に海外で「戦争」に参加できないとされていたわが国を「戦争」ができる国に変える法律を、あえて、「戦争」の反対概念である「平和」を冠して呼んでいる。
今話題のIR(統合型リゾート施設)整備推進法もその典型である。まず、「IR」などと聞いた瞬間に普通の人は興味をなくしてしまう。それでも調べてみると、それは「ホテル、ショッピングモール、レストラン、劇場、映画館、アミューズメントパーク、スポーツ施設等が一体になった観光施設」だそうである。しかし、そんなものなら既に日本中にたくさん存在する。現に、その新設について反対運動が立ち上がっている横浜では、予定地の目の前にもっと大規模な「統合リゾート施設」が存在する。
にもかかわらず、新法を制定してまでその「IR」を新設したい理由はただひとつ、カジノという、伝統的に刑法(185条)で犯罪とされているバクチを、例外的に合法化したいという点にある。ならば、その新法は、「IR推進法」などと呼ばす、端的に「カジノ賭博合法化法」と呼ぶべきである。