「ロス疑惑」元被告人・三浦和義氏が無実の訴え「検事自身が2人組の犯人の目撃者に会い調書も取っていた」
三浦氏の話はどれも否定しがたい真実味が感じられたが、真犯人のことに話が及んだ時、その口調は特に熱くなった。
「僕は当初から、犯人は行きずりの男2人組の強盗だと証言しています。実は2審の終わりごろ、現地の探偵の調査でこの2人組を目撃した人も見つかっているんです。公判を担当した検事自身がこの目撃者と会い、調書もとっていたのに、隠していたんです」
私はこの検事にも計3度、取材を申し入れて事実確認をしたが、はぐらかされたり、無視されたりして、まともな答えは返ってこなかった。そして三浦氏の話は本当なのだろうと思うに至った。
■報道被害者や冤罪被害者の支援にも取り組む
三浦氏は逮捕から十数年、獄中で過ごしたが、「時間を台無しにしたとは思っていないです」と言った。
「獄中では、本を7000冊くらい読み、民事訴訟も476件やりました。僕は前向きにしか生きない人間ですからね」
三浦氏がメディア相手の名誉毀損訴訟で連戦連勝だった話は有名だが、報道被害者や冤罪被害者の支援にも取り組み、和歌山カレー事件の林真須美死刑囚の裁判も熱心に応援していた。そういう姿を見て、実は凄く立派な人なのでは……と思っていたら、万引で捕まって驚かされたりもした。
亡くなった時は61歳。報道のイメージと実像が大きく異なる人だった。もっと話を聞いてみたかった。