著者のコラム一覧
適菜収作家

近著に「安倍晋三の正体」「ニッポンを蝕む全体主義」「思想の免疫力」(評論家・中野剛志氏との対談)など、著書50冊以上。「適菜収のメールマガジン」も発行。本紙連載を書籍化した「それでもバカとは戦え」も好評発売中。6月28日には第2弾「続 それでもバカとは戦え」が発売予定。

自民党の異常性を体現 「杉田水脈」は日本を崩壊させる

公開日: 更新日:

 自民党の杉田水脈がネット上でアイヌ民族を侮辱する投稿をしたことについて、札幌法務局は「人権侵犯の事実があった」と認定。杉田に対し「啓発」の措置を取った。杉田は2016年の国連女性差別撤廃委員会でアイヌ女性らを無断で撮影し、「チマチョゴリやアイヌの民族衣装のコスプレおばさんまで登場」「同じ空気を吸っているだけでも気分が悪くなる」などとネットに投稿していた。

 そもそも杉田といえば、現実と妄想の区別がついていない人物である。

 16年、保育所の待機児童問題に関して、産経新聞のサイトの自身のコラムで「旧ソ連崩壊後、弱体化したと思われていたコミンテルンは息を吹き返しつつあります。その活動の温床になっているのが日本であり、彼らの一番のターゲットが日本なのです」などと述べていたが、22年11月、国会で「事実として確認できず、不用意な発言だった」として撤回。

 20年9月の自民党内の会議では、性暴力被害者の相談事業をめぐって「女性はいくらでも嘘をつけますから」とあたかも被害を虚偽申告する女性が多数いると受け取れる発言をした。会議後杉田は「そんなことは言っていない」と発言を否定したが、参加者や関係者の証言もあり、逃げ切ることはできず、最終的にブログで「事実と違っていた」と嘘を認めた。

 22年10月、ジャーナリストの伊藤詩織がツイッター上の中傷投稿に「いいね」を押されて名誉感情を傷つけられたとして、杉田に損害賠償を求めた件で、東京高裁は杉田に55万円の支払いを命じた。

 社会は正常な人間だけで構成されているわけではない。社会の最底辺には、杉田のような嘘、デマ、ヘイトスピーチを垂れ流す邪悪な人間がいる。

 一番の問題はこのような人物を優遇し野放しにしてきた安倍晋三や岸田文雄だ。つまり、自民党という組織自体が異常極まりないのである。

 18年、杉田が「新潮45」に寄稿した記事(「LGBT支援の度が過ぎる」)は批判を浴び、最終的に雑誌は“廃刊”になったが、文章の最後は〈「常識」や「普通であること」を見失っていく社会は「秩序」がなくなり、いずれ崩壊していくことにもなりかねません。私は日本をそうした社会にしたくありません〉と締めくくられていた。おまえが言うな。


◆本コラム待望の書籍化!重版決定!kindle版も発売中です。

それでもバカとは戦え」(日刊現代・講談社 1430円)

■関連キーワード

最新の政治・社会記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • 政治のアクセスランキング

  1. 1

    辞意固めたか、国民民主党・玉木代表…山尾志桜里vs伊藤孝恵“女の戦い”にウンザリ?

  2. 2

    石丸現象は完全消滅…都議選で自民党と並ぶ42人擁立も新党「再生の道」は壊滅危機

  3. 3

    「1人2万円現金給付」再断念は秒読みか…SNSではブーイング止まらず、世論調査でもはっきりNO

  4. 4

    国民民主党の失速が止まらない…“山尾志桜里騒動”で参院選は連合推薦候補も共倒れ危機

  5. 5

    6.22都議選どうなる? 第1党争いは都ファ「水の女帝」vs自民「コメ将軍」の様相、玉木国民には大逆風

  1. 6

    進次郎氏に自民党内から不安の声…お膝元の三浦市長選で推薦候補まさかの敗北、都議選応援は“諸刃の剣”に

  2. 7

    山尾志桜里氏「みそぎ」の出馬会見で火に油…延々2時間半「すみません」連呼、8年前の不倫報道には“完黙”

  3. 8

    都議選スタート…国民民主“沈没で”「小池一派都ファvs進次郎頼り自民」のガチンコ対決勃発

  4. 9

    小池知事の都議選「公明応援行脚」の思惑…2日間で12候補にベタ張り、都ファ候補そっちのけ

  5. 10

    イスラエルはイラン核施設「破壊」に照準…トランプ米国電撃参戦が招く日本にとっての「最悪シナリオ」

もっと見る

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    梅宮アンナ「10日婚」短期間で"また"深い関係に…「だから騙される」父・辰夫さんが語っていた恋愛癖

  2. 2

    「時代と寝た男」加納典明(19) 神話レベルの女性遍歴、「機関銃の弾のように女性が飛んできて抱きつかれた」

  3. 3

    ドジャース佐々木朗希に向けられる“疑いの目”…逃げ癖ついたロッテ時代はチーム内で信頼されず

  4. 4

    山本舞香は“ヤンキー”より“令嬢”がハマる?「波うららかに、めおと日和」《ふかふみコンビ》で人気急上昇

  5. 5

    元横綱白鵬 退職決定で気になる「3つの疑問」…不可解な時期、憎き照ノ富士、親方衆も首を捻る今後

  1. 6

    ドジャース佐々木朗希の離脱は「オオカミ少年」の自業自得…ロッテ時代から繰り返した悪癖のツケ

  2. 7

    中川翔子「Switch2転売購入疑惑」を否定も火に油…過去の海賊版グッズ着用報道、ダブスタ癖もアダに

  3. 8

    横浜流星「べらぼう」ついに8%台に下落のナゼ…評価は高いのに視聴率が伴わないNHK大河のジレンマ

  4. 9

    中日・中田翔がいよいよ崖っぷち…西武から“問題児”佐藤龍世を素行リスク覚悟で獲得の波紋

  5. 10

    ドジャース佐々木朗希「今季構想外」特別待遇剥奪でアリゾナ送還へ…かばい続けてきたロバーツ監督まで首捻る