「小池都知事はエジプトのエージェント同然」カイロ大の体質を知り尽くすジャーナリストが看破

公開日: 更新日:

浅川芳裕(ジャーナリスト)

 エジプトの名門「カイロ大学」を卒業したのは本当なのか──。元側近の告発によって、東京都の小池百合子知事の学歴詐称疑惑が再燃している。知事は相変わらず「カイロ大が卒業を認めている」の一点張りだが、認定は妥当なのか。1990年代にカイロ大に通い、独自調査で大学の体質を知り尽くしているのがこの人。改めて小池の学歴詐称疑惑について語ってもらった。

  ◇  ◇  ◇

 ──小池知事の学歴詐称を告発した「女帝」出版直後の2020年6月、知事の卒業を証明するカイロ大声明が駐日エジプト大使館のSNSに投稿された。小池知事が再選した都知事選の告示直前でした。声明には報道への警告まで記されていましたが元側近の小島敏郎弁護士(都民ファーストの会元事務総長)は声明の文言案を小池知事と側近らが相談して決めていたと暴露。どう見ていますか?

 民主主義の根幹である選挙に外国勢力が介入したという点は以前と変わりませんが、そこに小池氏の意図が働いていたとしたら大問題です。選挙への介入を導いたとなれば、国家への反逆といえる行為です。声明発表によって都議会の追及はストップし、日本の多くのメディアも沈黙。小池氏のみならず、声明を出したカイロ大としても狙い通りの展開だったはずです。

 ──カイロ大が大使館を通じて声明を公表し、メディアに圧力をかけるなど普通では考えづらい。そんなリスクをカイロ大が冒すものでしょうか。

 カイロ大というのは、一般的な国公立大でもなければ、私立大でもない。エジプト軍事政権が直接、管理運営する国家機関です。学長のみならず、学部長でさえ大統領に任免権がある。カイロ大をおとしめる報道はエジプト国家そのものへの攻撃と同じです。政府による外国メディアへの圧力などエジプトでは日常茶飯事で、不思議なことではありません。カイロ大声明発表直後、政権寄りのエジプトメディアは「カイロ大、危機に瀕する都知事を救うために介入」「カイロ大、都知事の卒業証書を認めない日本メディアに対し法的措置で脅迫」などと報じたほどです。

 ──小池知事を相当大事にしているのですね。

 その理由を一言でいえば、小池氏がエジプト政府のエージェント同然の存在だからです。カイロ大は、そうしたエージェントを養成する機関でもある。もちろん、小池氏だけに限ったことではありませんが。

■フセイン元大統領は「亡命枠」

 ──カイロ大では当たり前なのでしょうか?

 後にエジプト大統領となるガマル・アブデル・ナセルが52年に軍事クーデターで政権を奪取して以降、小池氏が留学していた70年代まで、カイロ大には特殊な外国人留学枠が存在していました。ひとつは、アラブ諸国でエジプト国益に沿った反政府活動をする若者を亡命させ、母国に戻った時に工作員にする枠。いわゆる「亡命枠」でイラク元大統領のサダム・フセインがそのひとりです。

 ──小池知事は亡命したわけではありませんね。

 小池氏は「亡命枠」ではなく、ナセル側近で情報相を務めたムハンマド・アブデル・カーデル・ハーテムの「特別枠」でした。エジプトの国策に都合のいいエージェントを育成するため、非アラブ国出身者を優遇する枠です。

■関連キーワード

最新の政治・社会記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • 政治のアクセスランキング

  1. 1

    高市早苗氏は総裁選“決選投票”にも残らない? 完全裏目の「鹿スピーチ」でまさかの大失速

  2. 2

    国民民主党“激ヤバ”都議に「免許不携帯」疑惑 日刊ゲンダイの直撃にブチ切れ!【動画あり】

  3. 3

    林芳正氏が自民党総裁選“台風の目に”…「2強」失速でまさかの決戦投票進出あるか

  4. 4

    小泉進次郎氏にまた不正選挙疑惑が浮上! 神奈川県連“党員急増”のウラに「高市支持者」の抹消か

  5. 5

    高市早苗氏推しの旧安部派幹部は“復権”に虎視眈々…裏金事件再炎上も被害者気取りのおそるべし厚顔無恥

  1. 6

    高市早苗氏は頼みの党員・党友支持に急ブレーキで決戦シナリオ破綻…陣営が迫られる「地獄の選択」

  2. 7

    高市早苗氏の本性むき出し総裁選に“応援団”も大暴走!「投票しないと政治家じゃない」の恫喝電話の異常事態

  3. 8

    自民党総裁選も残り2日…林芳正氏に「議員票」雪崩も?“難民”40人が流れる可能性

  4. 9

    国民民主・玉木代表が維新の“自民すり寄り”に猛ジェラシー! 総裁選後の「補完勢力」の座めぐり場外乱闘勃発

  5. 10

    小泉進次郎が総理・総裁なら「岸田外相」カムバック説…意外と本人はニンマリ

もっと見る

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    今オフ日本史上最多5人がメジャー挑戦!阪神才木は“藤川監督が後押し”、西武Wエースにヤクルト村上、巨人岡本まで

  2. 2

    阪神・才木浩人はドジャース入りで大谷と共闘の現実味…「佐々木朗希より上」の評価まで

  3. 3

    ヤクルト村上宗隆の「メジャー契約金」は何億円?

  4. 4

    ロッテ佐々木朗希は母親と一緒に「米国に行かせろ」の一点張り…繰り広げられる泥沼交渉劇

  5. 5

    吉沢亮「国宝」150億円突破も手放しで喜べない…堺雅人“半沢直樹ブーム”と似て非なるギャラ高騰の行方

  1. 6

    国民民主党“激ヤバ”都議に「免許不携帯」疑惑 日刊ゲンダイの直撃にブチ切れ!【動画あり】

  2. 7

    ドジャース佐々木朗希もようやく危機感…ロッテ時代の逃げ癖、図々しさは通用しないと身に染みた?

  3. 8

    日本ハム最年長レジェンド宮西尚生も“完オチ”…ますます破壊力増す「新庄のDM」

  4. 9

    シード漏れ“ほぼ確”渋野日向子が10日開幕の国内戦へ…原英莉花や岩井ツインズ、古江らも集結

  5. 10

    カムバック星野監督の“2カ月20kg”の無茶ぶりに「嫌です」なんて言えるはずもなく…