あえて「二日酔い」にして、お酒嫌いにさせるクスリがある
みなさんはお酒、好きですか? 高齢になり、お酒を飲む量が減ったという方や、まだまだ多くの量を飲んでいて心のどこかで「もっと少なくしなければ」とか「お酒やめなければ」と考えている方もいらっしゃるかもしれません。
たくさん飲まれる方でも自制が利いていればまだよいのですが、場合によってはそれが利かないいわゆる「アルコール依存症」という病気もあります。今回は、お酒をやめさせる方向に効果があるクスリについて紹介します。
「抗酒薬」という言葉を聞いたことがあるかもしれません。これはアルコール依存症から脱する際に用いられるクスリのことで、「嫌酒薬」ともいわれています。つまり、お酒を“嫌いになる”クスリです。
通常の場合、摂取したアルコールは代謝を受けてアセトアルデヒド、さらには酢酸と形を変えることで体外に排泄されます。ここでポイントになるのがアセトアルデヒドです。毒性が強く、血液中の濃度が上昇すると、吐き気や嘔吐、頭痛、動悸、顔が赤くなるといった症状が現れます。これらはほとんどの方が一度は経験したことがあるはずの「二日酔い」と呼ばれる症状です。抗酒薬は、アセトアルデヒドが酢酸に代謝されるのを阻害することで、飲酒後のアセトアルデヒドの濃度をあえて高め、ちょっとの飲酒でも二日酔いになるクスリになります。誰しも二日酔いを経験すると、「お酒飲んでもいいことないからもうやめよう」と思うはずです。そこを利用し、飲酒を断念させることでアルコール依存症の改善につながるのです。