いまだに残る「自己責任論」…病気になるのは「本人のせい」か
病気になるには理由がある! こう考えている人がたくさんいます。
不摂生、受動喫煙、飲酒、ストレス、介護、消費税、インチキ・サプリメント──国民の体をむしばむ要素は確かにたくさんありますが、それでも何とか健康を保っている人も数多くいます。
みなさんが健康なのは、購入しているサプリメントのせいではないと思います。ただただ幸運だから。病気になるもならないも、ただただその人の運命なのです。40年医者をやっていてつくづくそう思います。
昔のことですが、情報番組というのをテレビとかいう、古い時代の通信機器でやっていました。番組でよく病気の解説をさせていただきました。
あるとき、大阪の繁華街の道路で、突然、車が発進して歩道の女性をひいてしまった、という悲惨な事故が話題になりました。運転していた方は、どうやら何かの発作で意識をなくして絶命してしまい、その瞬間に車が急発進したとのことでした。
「ナブチさん、どんな病気が考えられますか?」などと下問されました。突然死にかかわる拙著で、急性大動脈解離で運転中に意識をなくして電柱に衝突した方の事例を紹介したことがあったからでしょう。しかし、この日の番組では情報があまりなかったので、専門家らしく、適当にお茶を濁す話をして、あえて病名をあげることはしませんでした。