著者のコラム一覧
文谷数重元3等海佐・軍事研究家

1973年、埼玉県生まれ。早大大学院修了。元3等海佐・軍事研究家

日本の防衛に必要なのか? 陸自の都合に迎合し不要な戦車を大量調達

公開日: 更新日:

 なぜ、使う見込みもない兵器を買うのか。

 それは陸自の都合に迎合したためだ。

 そのひとつは演習で必要だからである。エリート陸上自衛官の登竜門となる指揮幕僚課程は敵陸軍との内陸決戦のお稽古ばかりである。また陸自の演習も敵上陸軍との内陸決戦の繰り返しだ。しかも、成績や出世はその影響を受ける。だから、演習で役立つ最新の戦車や自走砲を本気で欲しがるのである。

 もうひとつは組織防衛に必要だからである。陸自は病的にリストラを嫌う。今の戦車部隊と砲兵部隊をそのまま維持したい。部隊数、隊員数、指揮官以下のポストを減らしたくない。その理由からも戦車と自走砲の数を維持しようとしている。

 どちらも一蹴すべき内容である。だから、戦車と自走砲の購入は抑制してきた。あの安倍政権ですら不必要として購入数は最低限とした。

 それが防衛費増額で実現することになった。

 予算消化に窮したためだ。考えなしに従来の2倍としたため防衛費は使い切れなくなった。それに困った防衛省は陸自の大量購入を許したのだ。

■関連キーワード

最新の政治・社会記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • 政治のアクセスランキング

  1. 1

    「立花一派」の一網打尽が司法の意志…広がる捜査の手に内部情報漏した兵庫県議2人も戦々恐々

  2. 2

    日銀を脅し、税調を仕切り…タガが外れた経済対策21兆円は「ただのバラマキ」

  3. 3

    日中対立激化招いた高市外交に漂う“食傷ムード”…海外の有力メディアから懸念や皮肉が続々と

  4. 4

    高市首相のいらん答弁で中国の怒りエスカレート…トンデモ政権が農水産業生産者と庶民を“見殺し”に

  5. 5

    「総理に失礼だ!」と小池都知事が大炎上…高市首相“45度お辞儀”に“5度の会釈”で対応したワケ

  1. 6

    高市政権の“軍拡シナリオ”に綻び…トランプ大統領との電話会談で露呈した「米国の本音」

  2. 7

    林芳正総務相「政治とカネ」問題で狭まる包囲網…地方議員複数が名前出しコメントの大ダメージ

  3. 8

    維新の“公金流用疑惑”が尽きない事情…藤田文武共同代表に続き、今度は高木佳保里総務会長

  4. 9

    自民党・麻生副総裁が高市経済政策に「異論」で波紋…“財政省の守護神”が政権の時限爆弾になる恐れ

  5. 10

    高市政権の放漫財政が引き起こすジレンマ…バラマキ経済対策がさらなる物価高を後押し

もっと見る

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    安青錦は大関昇進も“課題”クリアできず…「手で受けるだけ」の立ち合いに厳しい指摘

  2. 2

    阿部巨人に大激震! 24歳の次世代正捕手候補がトレード直訴の波紋「若い時間がムダになっちゃう」と吐露

  3. 3

    マエケン楽天入り最有力…“本命”だった巨人はフラれて万々歳? OB投手も「獲得失敗がプラスになる」

  4. 4

    中日FA柳に続きマエケンにも逃げられ…苦境の巨人にまさかの菅野智之“出戻り復帰”が浮上

  5. 5

    今田美桜に襲い掛かった「3億円トラブル」報道で“CM女王”消滅…女優業へのダメージも避けられず

  1. 6

    高市政権の“軍拡シナリオ”に綻び…トランプ大統領との電話会談で露呈した「米国の本音」

  2. 7

    エジプト考古学者・吉村作治さんは5年間の車椅子生活を経て…80歳の現在も情熱を失わず

  3. 8

    日中対立激化招いた高市外交に漂う“食傷ムード”…海外の有力メディアから懸念や皮肉が続々と

  4. 9

    安青錦の大関昇進めぐり「賛成」「反対」真っ二つ…苦手の横綱・大の里に善戦したと思いきや

  5. 10

    石破前首相も参戦で「おこめ券」批判拡大…届くのは春以降、米価下落ならありがたみゼロ