本田圭佑「虚像と実像」(4)大人を操ったヨイショと作り笑い

公開日: 更新日:

 誰が相手だろうが、物おじすることなく、言いたいことはハッキリと言う。本田の言動は、若い世代の一部からカリスマ教祖のようにあがめ奉られる一方、傲慢でふてぶてしい印象も漂ってくる。

 それでも、本田が批判の矢面に立たされることが少ないのは、苛烈な環境で培った気配りと深謀遠慮があるから。

 両親が離婚し、親代わりの祖父母は共働きで家にいない。本田にとって小学生の頃から頼れるのは兄・弘幸と、その仲間だけだった。小学4年から中学のサッカー部で練習していた本田の周囲は常に「目上」ばかり。偉そうな態度を取り続ければ反感を買う。そればかりか、自分の居場所すら失う可能性があった。

 どうしたら年長者に認められ、自己主張しても聞き入れてもらえるか。会得した処世術は「巧妙な言葉の使い方」「相手をソノ気にさせる上手な伝え方」だった。

 弘幸が通っていた摂津二中のサッカー部顧問だった田中章博は言う。

「偉そうなことばかり言うてたけど、圭佑はああ見えて何かを言うに当たり、相手に配慮して上手に伝えていた。そうしないと、みんなは構ってくれなくなるし、ボールももらえないから。ヨイショの一言や(笑い)。あと見えないところで褒めたりすることも忘れんかったね。だから、先輩たちも圭佑を無視できなかった。小学生の圭佑が出す指示を、中学生が真面目な顔でフンフンって聞いてたぐらいやからね」

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    日本ハムが新庄監督の権限剥奪 フロント主導に逆戻りで有原航平・西川遥輝の獲得にも沈黙中

  2. 2

    白鵬のつくづくトホホな短慮ぶり 相撲協会は本気で「宮城野部屋再興」を考えていた 

  3. 3

    DeNA三浦監督まさかの退団劇の舞台裏 フロントの現場介入にウンザリ、「よく5年も我慢」の声

  4. 4

    藤川阪神の日本シリーズ敗戦の内幕 「こんなチームでは勝てませんよ!」会議室で怒声が響いた

  5. 5

    佳子さま“ギリシャフィーバー”束の間「婚約内定近し」の噂…スクープ合戦の火ブタが切られた

  1. 6

    半世紀前のこの国で夢のような音楽が本当につくられていた

  2. 7

    生田絵梨花は中学校まで文京区の公立で学び、東京音大付属に進学 高3で乃木坂46を一時活動休止の背景

  3. 8

    武田鉄矢「水戸黄門」が7年ぶり2時間SPで復活! 一行が目指すは輪島・金沢

  4. 9

    田原俊彦「姉妹は塾なし」…苦しい家計を母が支えて山梨県立甲府工業高校土木科を無事卒業

  5. 10

    プロスカウトも把握 高校球界で横行するサイン盗みの実情