本田圭佑「虚像と実像」(4)大人を操ったヨイショと作り笑い

公開日: 更新日:

■率先して親戚を送迎

 ある試合でこんなシーンがあった。兄の同級生でヒロシと呼ばれていた先輩から、なかなか思うようなボールが送られてこず、何度か決定機を逃すことがあった。苛立った本田はヒロシのもとに駆け寄った。作り笑いを浮かべてつぶやいた。

「正確なパスが出せるヒロシ君やからこそ頼めるんやけどな。あの場面では、もうちょっとオレのココんところにボールが欲しいんやけどなあ」

 相手の機嫌を損なわないようにし、自分の主張を的確に伝えていく。幼少期から本田を知る大叔父の本田大三郎も言う。

「みんなは圭佑の派手な一面しか知らないでしょうが、彼ほど繊細で周囲に配慮の気持ちを持っている人間はいない。小さい頃から人に助けられて育ち、そのことへの感謝の気持ちを忘れていないからです。親戚で集まる時などは自ら率先して送迎に出たりもする。人の話は控えめな態度で真摯に聞く。本当はみなさんが思い描いている本田像とは真逆なんです」

 サッカーを通して「本田の流儀」を身につけていき、あわせて生きていく術をも体得していった。もっとも、中学に進み、ガンバ大阪のジュニアユースに入団すると順調だったサッカー人生が一転した。
(敬称略=つづく)

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    ドジャース佐々木朗希に向けられる“疑いの目”…逃げ癖ついたロッテ時代はチーム内で信頼されず

  2. 2

    ドジャース佐々木朗希の離脱は「オオカミ少年」の自業自得…ロッテ時代から繰り返した悪癖のツケ

  3. 3

    ドジャース佐々木朗希「今季構想外」特別待遇剥奪でアリゾナ送還へ…かばい続けてきたロバーツ監督まで首捻る

  4. 4

    中日・中田翔がいよいよ崖っぷち…西武から“問題児”佐藤龍世を素行リスク覚悟で獲得の波紋

  5. 5

    西武は“緩い”から強い? 相内3度目「対外試合禁止」の裏側

  1. 6

    「1食228円」に国民激怒!自民・森山幹事長が言い放った一律2万円バラマキの“トンデモ根拠”

  2. 7

    “貧弱”佐々木朗希は今季絶望まである…右肩痛は原因不明でお手上げ、引退に追い込まれるケースも

  3. 8

    辞意固めたか、国民民主党・玉木代表…山尾志桜里vs伊藤孝恵“女の戦い”にウンザリ?

  4. 9

    STARTO社の新社長に名前があがった「元フジテレビ専務」の評判…一方で「キムタク社長」待望論も

  5. 10

    注目集まる「キャスター」後の永野芽郁の俳優人生…テレビ局が起用しづらい「業界内の暗黙ルール」とは