強烈な個性のフランスはエースのリベリ欠場でまとまった
■個性の違いが戦術の幅にもなっている
フランスではポグバのような大柄で身体的能力の高い黒人選手は多い。多くの移民を受け入れていたフランスは、アフリカ、アジア、さまざまなルーツを持つ人間が集まっている。ポグバはギニア系の両親を持つ。
松井は「黒人の選手の筋肉は硬い。当たると痛いんです」と表現した。こうした選手との当たりに慣れるまでしばらく時間がかかったという。
フランスの強みは、背が高い、低い、足が速い、技術が高い、あるいは規律を守る、闘争心が異常に激しい――、さまざまな個性を持った選手を抱えていることだ。個々の差異が大きいため、ひとつの策がダメだったとき、違った特徴の選手で代替案を打つことができる。そこが日本と大きく違うところだ。
大会前、フランス代表の下馬評は高くなかった。このW杯直前に、中心選手のMFリベリがケガで代表メンバーから外れたからだ。ただ、リベリを欠いたことでフランスはまとまったチームになった。次は優勝候補のドイツである。
文・田崎健太(ノンフィクション作家)