熾烈な争い続くも…三振数も激増している「本塁打王」の価値
シーズンも佳境に差し掛かる中、セ・パの本塁打王争いが盛り上がりを見せている。
セは現在、エルドレッド(広島)が33本でトップ。バレンティン(ヤクルト)が3本差でその背中を追う。パはメヒア、中村剛也(共に西武)、ペーニャ(オリックス)が30本で三つ巴の様相を呈している。
とはいえ、この熾烈な本塁打王争いの裏で気になることもある。ここ数年の「長距離砲」は本塁打数に比例して三振数も激増しているからだ。
エルドレッドは12日時点で437打席中148三振。3打席に1度のペースで三振を喫している。メヒア(370打席127三振)や中村(408打席108三振)も同様で、特に中村は過去4度タイトルを取った年はいずれも120三振以上を記録している。
現在のプロ野球は昔とは違いフォーク、スプリットなど落差のある球種が主流とはいえ、昔のプロ野球だってドロップカーブやシンカーはあった。その中でも本塁打王は三振が少なかった。
三冠王に輝いたバース(元阪神)、落合博満氏(現中日GM)は当然ながら、一本足打法で計15度の本塁打王に輝いた王貞治氏(現ソフトバンク会長)も1シーズン101三振(60年)が最多。「ミスター赤ヘル」と呼ばれた元広島の山本浩二氏(現野球評論家)は4度の本塁打王に輝きながら、三振数は最多でも70年の77三振に過ぎない。