元阪神球団社長が明かした2004年「1リーグ構想」の“内幕”

公開日: 更新日:

 2004年、球界は揺れに揺れた。近鉄とオリックスが合併したことを契機に、リーグ再編騒動が勃発。巨人の渡辺オーナーが1リーグ制の旗振り役となって、球界を牽引しようとした。これに真っ向から異を唱えたのが阪神の野﨑勝義球団社長だ。6月末、セ・リーグの理事長を務めていた阪神の連盟担当役員が関連会社に出向。後を引き継いだ野﨑社長は1リーグ制自体にメリットがないことや、議論が1リーグ制ありきで進んでいることを問題視して2リーグ制維持に尽力した。以下は野﨑勝義氏が明かした球界再編騒動の裏側だ。

 6月21日の実行委員会で近鉄とオリックスの合併が承認されると、球界は一気に1リーグ制に向けて動き出した。

 7月7日のオーナー会議で、西武の堤オーナーが「もうワンペア、合併がある」と発言。渡辺オーナーは8~10球団への削減と、1リーグへの移行が望ましいと主張、球界を引っ張ろうとした。

 あくまでウワサだが巨人はセのフランチャイズではない札幌と福岡で読売新聞の部数を伸ばそうと考えたらしい。

 オリックスの宮内オーナーとの取引も囁かれた。宮内さんは当時、小泉内閣の規制改革・民間開放推進会議議長を務め、新聞の再販価格もターゲットといわれていた。それを阻止したい渡辺オーナーが、巨人と試合をしたがっている宮内さんと手を組んだという報道もあった。

 真相はともかく、私は7月10日の実行委員会の議論がまず1リーグ制ありきで進められていたことに驚いた。名古屋と長野で行われた球宴の最中、巨人を除くセの4球団の理事と話をする機会があり、彼らも同様に不満を募らせていた。

 私は1リーグ制への流れをせき止めようと考えた。13日の球団役員会で1リーグ制導入の問題を審議。2リーグ制にこそメリットがあり、1リーグ制にはデメリットしかないと主張した。

 球団数を減らしてしまうとマーケットやパイの減少につながり、球界が先細る危険がある。一部球団の私利私欲に引っ張られるのも解せない。十分な議論もせずに来年からいきなり1リーグは拙速過ぎる。それより何より1リーグ制導入はルールにのっとっていない。オーナー会議の雑談の中で出た話であって、決議ではない。事前に提案された案のみ決議できるのがオーナー会議なのに、その手続きを踏んでいないことに承服しかねたのだ。

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    新生阿部巨人は早くも道険し…「疑問残る」コーチ人事にOBが痛烈批判

  2. 2

    大谷翔平は米国人から嫌われている?メディアに続き選手間投票でもMVP落選の謎解き

  3. 3

    阿部巨人V逸の責任を取るのは二岡ヘッドだけか…杉内投手チーフコーチの手腕にも疑問の声

  4. 4

    大谷翔平の来春WBC「二刀流封印」に現実味…ドジャース首脳陣が危機感募らすワールドシリーズの深刻疲労

  5. 5

    巨人桑田二軍監督の“排除”に「原前監督が動いた説」浮上…事実上のクビは必然だった

  1. 6

    阪神の日本シリーズ敗退は藤川監督の“自滅”だった…自軍にまで「情報隠し」で選手負担激増の本末転倒

  2. 7

    維新・藤田共同代表にも「政治とカネ」問題が直撃! 公設秘書への公金2000万円還流疑惑

  3. 8

    35年前の大阪花博の巨大な塔&中国庭園は廃墟同然…「鶴見緑地」を歩いて考えたレガシーのあり方

  4. 9

    米国が「サナエノミクス」にNO! 日銀に「利上げするな」と圧力かける高市政権に強力牽制

  5. 10

    世界陸上「前髪あり」今田美桜にファンがうなる 「中森明菜の若かりし頃を彷彿」の相似性