<第37回>いつの間にか大阪弁の輪の中心にいた

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 夏の甲子園後に行われるU18世界選手権。甲子園で活躍した選手を中心に全国から代表が選ばれるものの、大半を関西出身者が占める。

 藤浪、北條(ともに現阪神)、田村(現ロッテ)らを中心に構成された12年の日本代表もしかり。青森の光星学院にいた北條、田村も大阪出身。ナインの間では自然と大阪弁が飛び交っていた。

 そんな中に岩手出身で、岩手育ちの大谷が入る。U18に出場する選手をチェックしに韓国に渡った日本ハムGM(現スカウト顧問)の山田正雄は、「性格を見極める絶好の機会でした」とこう言った。

「大阪弁は独特じゃないですか。一方的にまくしたてられたら、ボクらでも気後れするというか、ひるんでしまうようなところがある。そんな中に東北育ちで、ひょろひょろっとした大谷が入っていってどんな反応を示すのか。そもそも大阪弁の輪に入っていけない選手もいますから」

 試合前の日本ベンチ。山田はスタンドからじっと様子を見つめていた。練習の合間に案の定、北條や田村ら大阪出身の選手が中心となって輪ができた。おそらく雑談をしているのだろう。ときおり笑い声が聞こえる。

 ベンチから大谷が出てきた。横目でちらっと輪の方を見る。山田が「そのまま通り過ぎるんだろうな……」と、そんなふうに思った次の瞬間、 

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【連載】秘話 大谷翔平「二刀流の血脈」

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