著者のコラム一覧
山田隆道作家

1976年、大阪生まれ。早大卒。「虎がにじんだ夕暮れ」などの小説を執筆する他、プロ野球ファンが高じて「粘着!プロ野球むしかえしニュース」などの野球関連本も多数上梓。各種スポーツ番組のコメンテーターとしても活躍中。

衣笠祥雄さんの死に思う “鉄人”と簡略化することの危うさ

公開日: 更新日:

■皆勤を尊ぶ精神論的な非合理性

 果たして、こういう日本人に渦中の働き方改革がどれほど浸透するのだろうか。休むことは後退でも怠惰でもない。適度に休むことは人生を豊かにする、あるいはパフォーマンス向上のための積極的手段だと考える人は、衣笠さんと違って称賛されないのだろうか。

 その意味において、この記録ばかりクローズアップされることには一抹の危うさを感じる。故人を称える上で必要不可欠な項目だと理解しつつも、皆勤を尊ぶ精神論的な非合理性は現代社会の潮流に反しており、過日の星野仙一逝去のときに報道を席巻した「鉄拳制裁の美談化」と同じような矛盾をはらんでいる。

 また、「衣笠=鉄人」と簡略化してしまうと、彼の本質が伝わらないような気もする。選手・衣笠は通算504本塁打を記録した大スラッガーではあったが、意外にも打率3割を超えたのは1回だけで、打撃タイトルも打点王1回のみという少々粗っぽい打者だった。

 そもそも身長175センチと小柄で、20代の頃には盗塁王を獲得、さらに入団時は捕手だったことを考えると、本来の彼はいわゆる大砲タイプではなかったのかもしれない。小柄ながら身体能力が高く良質の筋肉をまとっていたから、盟友・山本浩二に負けまいと無理にフルスイングをしていたのかもしれない。そんな彼の本質を知りたいからこそ、報道の大半を占める連続試合出場ネタが邪魔に思えるのだ。

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • 野球のアクセスランキング

  1. 1

    俺が監督になったら茶髪とヒゲを「禁止」したい根拠…立浪和義のやり方には思うところもある

  2. 2

    阪神・梅野がFA流出危機!チーム内外で波紋呼ぶ起用法…優勝M点灯も“蟻の一穴”になりかねないモチベーション低下

  3. 3

    梅野隆太郎は崖っぷち…阪神顧問・岡田彰布氏が指摘した「坂本誠志郎で捕手一本化」の裏側

  4. 4

    阪神に「ポスティングで戦力外」の好循環…藤浪晋太郎&青柳晃洋が他球団流出も波風立たず

  5. 5

    巨人・阿部監督に心境の変化「岡本和真とまた来季」…主砲のメジャー挑戦可否がチーム内外で注目集める

  1. 6

    巨人・戸郷翔征は「新妻」が不振の原因だった? FA加入の甲斐拓也と“別れて”から2連勝

  2. 7

    オレが立浪和義にコンプレックスを抱いた深層…現役時代は一度も食事したことがなかった

  3. 8

    巨人エース戸郷翔征の不振を招いた“真犯人”の実名…評論家のOB元投手コーチがバッサリ

  4. 9

    “死球の恐怖”藤浪晋太郎のDeNA入りにセ5球団が戦々恐々…「打者にストレス。パに行ってほしかった」

  5. 10

    阪神・佐藤輝明が“文春砲”に本塁打返しの鋼メンタル!球団はピリピリも、本人たちはどこ吹く風

もっと見る

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    阪神・梅野がFA流出危機!チーム内外で波紋呼ぶ起用法…優勝M点灯も“蟻の一穴”になりかねないモチベーション低下

  2. 2

    梅野隆太郎は崖っぷち…阪神顧問・岡田彰布氏が指摘した「坂本誠志郎で捕手一本化」の裏側

  3. 3

    国民民主党「選挙違反疑惑」女性議員“首切り”カウントダウン…玉木代表ようやく「厳正処分」言及

  4. 4

    阪神に「ポスティングで戦力外」の好循環…藤浪晋太郎&青柳晃洋が他球団流出も波風立たず

  5. 5

    本命は今田美桜、小芝風花、芳根京子でも「ウラ本命」「大穴」は…“清純派女優”戦線の意外な未来予想図

  1. 6

    巨人・戸郷翔征は「新妻」が不振の原因だった? FA加入の甲斐拓也と“別れて”から2連勝

  2. 7

    時効だから言うが…巨人は俺への「必ず1、2位で指名する」の“確約”を反故にした

  3. 8

    石破首相続投の“切り札”か…自民森山幹事長の後任に「小泉進次郎」説が急浮上

  4. 9

    今田美桜「あんぱん」44歳遅咲き俳優の“執事系秘書”にキュン続出! “にゃーにゃーイケオジ”退場にはロスの声も…

  5. 10

    参政党のSNS炎上で注目「ジャンボタニシ」の被害拡大中…温暖化で生息域拡大、防除ノウハウない生産者に大打撃