ベルギー戦の敗因と見えた課題 日本サッカー協会への提言

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 日本代表の森保一監督(49)は、兼務する五輪代表監督として東京五輪世代のU―21代表を率いてアジア大会(インドネシア)に臨んでいる。14日のネパールに続いて16日にはパキスタンと対戦し、4―0のスコアで圧倒した。格下相手とはいえ、2連勝と順調な滑り出しだが、23日以降の決勝トーナメントでは、骨のある対戦相手が待ち構えている。ブンデスリーガ1部でコーチ経験のある鈴木良平氏、サッカーダイジェスト元編集長の六川享氏、ワールドサッカーグラフィック元編集長の中山淳氏の論客がロシアW杯の戦いを振り返りつつ、森保兼任監督率いる日本代表の行く末について語る――。

■中山「VARでセットプレーの比率が増えていく」

中山「ロシアW杯のラウンド16で対戦したベルギーですが、大きな大会ではひ弱さを見せるところがあり、日本にもチャンスがあると予想していました。0―2とリードされたベルギーはそこから選手の2枚替え、システム変更と監督が好采配を見せ、日本は衝撃的な逆転負けを喫しました」

鈴木「決勝点はMF本田のCKを199センチの長身GKがキャッチしたところからスタートした。ハイボールにめっぽう強いGKがいるのに経験豊富な本田が、なぜ山なりのボールを蹴ったのか? 理解できない」

六川「途中出場して同点ゴールを決めたMFフェライニは、すでにピークの過ぎた選手と思っていたが、準々決勝ブラジル戦、準決勝フランス戦はスタメンで出場した」

中山「ベルギーの監督は戦術的に難があると批判されていたが、日本戦の采配がズバリ的中したことで覚醒し、それが停滞気味の選手にも伝わった。準々決勝以降は強さを見せて6勝1敗・16得点の3位は見事でした」

六川「ベルギー戦の記者席の隣の隣にベルギー人のプレスが3人座っていた。失点するたびにシュンとなっていったが、1点返すと大騒ぎ。チームもプレスも、日本戦から息を吹き返した格好だ」

鈴木「FWルカク、MFアザール、MFデブルイネの攻撃陣は強力だったね」

■六川「将来性ある指導者を武者修行させるべき」

六川「ポーランドのように<1トップのFWレバンドフスキをケアすれば脅威は半減する>チームではなかった。とはいえ、ベルギー戦は十分に勝機があった」

中山「ベルギー戦の日本ベンチには、いくつか反省点がありました。身長194センチのMFフェライニは<身長170センチと小柄なDF長友と競り合わせる>ために投入されましたが、ベンチは選手交代を含めて何もできませんでした。本田のCKの場面ですが、CBの吉田も昌子も相手ゴール前に位置取りしていた。ベルギーの高速カウンターに昌子は最後まで食らい付きましたが、わずかに間に合いませんでした。CKの際、ベンチの西野監督が<CBのどちらかは(自陣に)戻れ>と指示を出していたら、あの決勝点は防げたと思います」

六川「ロシアW杯に目新しい戦術、新しいトレンドはありましたか?」

中山「近代サッカーは強豪クラブが新たなトレンドを生み出し、所属選手たちが習得して自国の代表のパフォーマンスとして消化する――というサイクルになっています」

鈴木「VARというテクノロジーが導入された」

中山「これからは悪質なファウルが見破られ、セットプレーの比率が増えていくでしょう」

六川「そもそも代表チームというのは練習機会が少なく、どうしても戦術を熟成させる時間が限られる。必然的に守ってカウンターに頼りがちとなり、セットプレーからの得点も増えていく。その傾向が、ロシアW杯の結果でさらに高まっていくのでは?」

■鈴木「フィジカルの強弱や身長差が勝敗を分ける」

鈴木「チーム戦術、グループ戦術で対応するのではなく、局面ごとの<個々の選手の対応力>がより一層、問われるようになっていく。4位と健闘したイングランドは、総得点12のうちセットプレーで9点を稼ぎ、5点がヘディングだった。フィジカルの強弱や身長差が勝敗を分ける傾向が強まり、日本は厳しい戦いを強いられるだろう」

六川「日本サッカー協会(JFA)が<オールジャパン化>を推進するのなら、たとえば98年フランスW杯の最終予選、本大会でプレーして現在Jで采配を振っている磐田の名波監督、長崎の高木監督、福岡の井原監督、町田の相馬監督ら将来性のある指導者を、海外の代表チームでも強豪クラブでもJFAの提携先で1年、2年と武者修行させるとか、そういった手だてはいかが?」

鈴木「妙案だ。JFAには、アグレッシブで大胆な強化策を期待したい」

(おわり)

※紙面に収録できなかった部分を含めたトーク動画を、YouTube「日刊ゲンダイ公式チャンネル」で公開中です。

▼鈴木良平(すずき・りょうへい)
 1949年、東京都生まれ。東海大卒業後の1973年、ドイツの名門ボルシアMGにコーチ留学。名将バイスバイラーの薫陶を受け、最上級ライセンスのS級ライセンスを日本人として初取得。84-85年シーズンのドイツ1部ビーレフェルトのヘッドコーチ兼ユース監督。なでしこジャパン初代専任監督。98年福岡ヘッドコーチ。現在も、ブンデスリーガを中心にサッカー解説者として活躍中。

▼六川 亨(ろくかわ・とおる)
 1957年、東京都生まれ。「週刊サッカーダイジェスト」の編集長や、「CALCIO2002」、「プレミアシップマガジン」、「サッカーズ」の編集長を歴任。現在はフリージャーナリストとして、Jリーグや日本代表をはじめ、世界中の大会で精力的に取材活動を行う。日本サッカーの暗黒時代からJリーグ誕生、日本代表のW杯初出場などを見続ける。

▼中山 淳(なかやま・あつし)
 1970年、山梨県甲府市生まれ。明治学院大学卒業後、「ワールドサッカーグラフィック」誌編集部に入り、編集長を経て2005年に独立。さまざまな媒体に寄稿するほか、CS放送のサッカー番組にも出演。雑誌、書籍、ウエブなどを制作する有限会社アルマンド代表。同社発行の「フットボールライフ・ゼロ」の編集発行人でもある。

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