原裕美子は窃盗症に…表面化した女子マラソン選手の心と体

公開日: 更新日:

 犠牲者ともいえる。世界陸上の代表にもなった元マラソン選手の原裕美子(36)は、執行猶予中に菓子を万引。3日、再び執行猶予4年(保護観察つき)の有罪判決が言い渡された。

 直後の会見で原は、万引した理由は摂食障害にあったと、次のように説明した。

「(実業団陸上部では)1日に4回から6回の体重測定があり、監督の前に座らされ、(カロリーを計算された食事にもかかわらず)これは食べちゃダメだ、これは半分残しなさい、などと指導された」「食べ吐きすれば、そのつらさがすこし和らぐ。食べ吐きをやめたら、また体重管理で怒られると。そういうつらさから逃げるために、どんどん食べ吐きがひどくなって、万引をしてしまった」

「(コンビニで)盗ったら捕まる。捕まったらこの苦しみから解放される。早くこんな苦しい生活から逃れたかった」

 原の万引理由を知ったある実業団の指導者は「ここまで重症ではないが……」と前置きしてこう言う。

「高校や大学の陸上部から実業団入りする女子選手は、程度の差こそあれ、体重制限を強いられてきた者が少なくない。例えば、毎日15~20キロを走るのに食事を過度に制限されたことで、月経がこなかったり、疲労骨折を繰り返した選手もいる。骨がモロい状態で実業団に入ってくるので、体が出来上がるまでハードな練習は控えるし、その後も故障しないように十分配慮する。近年、実業団女子の練習量が激減しているのはこのような事情もある」

 どんな理由があろうと万引は許されないことだが、実業団でも過酷な「体重制限」を続けていれば心もカラダもボロボロになるのは当然だ。

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    新生阿部巨人は早くも道険し…「疑問残る」コーチ人事にOBが痛烈批判

  2. 2

    阿部巨人V逸の責任を取るのは二岡ヘッドだけか…杉内投手チーフコーチの手腕にも疑問の声

  3. 3

    阪神「次の二軍監督」候補に挙がる2人の大物OB…人選の大前提は“藤川野球”にマッチすること

  4. 4

    阪神・大山を“逆シリーズ男”にしたソフトバンクの秘策…開幕前から丸裸、ようやく初安打・初打点

  5. 5

    巨人桑田二軍監督の“排除”に「原前監督が動いた説」浮上…事実上のクビは必然だった

  1. 6

    創価学会OB長井秀和氏が明かす芸能人チーム「芸術部」の正体…政界、芸能界で蠢く売れっ子たち

  2. 7

    阪神の日本シリーズ敗退は藤川監督の“自滅”だった…自軍にまで「情報隠し」で選手負担激増の本末転倒

  3. 8

    大谷翔平の来春WBC「二刀流封印」に現実味…ドジャース首脳陣が危機感募らすワールドシリーズの深刻疲労

  4. 9

    大死闘のワールドシリーズにかすむ日本シリーズ「見る気しない」の声続出…日米頂上決戦めぐる彼我の差

  5. 10

    ソフトB柳田悠岐が明かす阪神・佐藤輝明の“最大の武器”…「自分より全然上ですよ」