神宮球場の一塁側ベンチで野村監督が語った“理想の死に方”

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沙知代夫人に壊された携帯電話

 趣味といえば、カラオケくらい。道楽で豪華な時計収集、クルマはベントレー。酒はほとんど飲まず、ゴルフは嫌い。女性は好きだったが、沙知代夫人が怖かった。

「おれの携帯、なんぼ壊されたかわからん」と、こぼしたことがある。携帯電話がチェックされる。女性の名前があると「すぐに放り投げるんや」という恐妻だったが、この話を目じりを下げ、照れながら打ち明ける。

 野村監督には「野球しかない」人生だった。

「優勝の瞬間、ベンチで死ぬのが理想」と言ってから、さらに「で、葬式でな」と、こう続けた。

「棺桶のフタ開けてな、こう、だれが来てるか見るんや。おう、あいつ来とるか、よしよし。ん?なんやアイツ来とらんやないか。調子のいいこと言いおって、そういうやつやったんやな」

 記者のほうを見て、ニヤリとした。

 監督の葬式は、身内の者だけでと、長男の克則氏が言っていた。一般にはお別れの会で、ということになる。

「棺のフタを開けて見る」ことはできない。

 倒れていたのは、風呂の中だったという。ベンチで、優勝決定の瞬間に、というわけにはいかなかった。

 風呂の中で、と聞いて、なんともいえない気持ちになった。せめて、穏やかな温かさに包まれて、苦しまず逝かれた、と思いたい。

(日刊ゲンダイOB・林壮行)

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