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飯田 哲也元ヤクルトスワローズ

1968年5月、東京都調布市生まれ。千葉県の拓大紅陵高を経て、86年ドラフト4位で捕手としてヤクルト入団。日本一と称された中堅守備と俊足を生かした打撃でヤクルト黄金期を支えた。2006年に楽天で引退。07~13年はヤクルトで、15年から昨季までソフトバンクでコーチを務めた。現役通算1505試合で1248安打、363打点、48本塁打、234盗塁、打率・273。ゴールデングラブ賞7回(91~97年)、92年盗塁王。日本シリーズ優秀選手賞2回(92、93年)。

「フライを打ち上げたから今日は使わない」と言われた恐怖

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 野村監督といえば、「ぼやき」が有名です。これは報道陣の皆さん、野球ファンの方が詳しいでしょう。試合前練習で担当記者さんらを相手に談笑する光景を、今でもよく覚えています。それを記事にしたものを読んだ方も多いでしょう。では試合中はといえば……やっぱり、ずっとぶつぶつしゃべっていました。

 一軍選手が試合中のベンチで座る位置は、大体決まっています。正捕手の古田敦也さんは野村監督の真ん前。僕も監督の近くが定位置でした。

「次、真っすぐ来るぞ」

 ヤクルトの攻撃中は、そんな感じで相手投手の球種を予測します。独り言のような声音ですが、周りの選手に言い聞かせるようにつぶやきます。

「次はカーブ」

 すると、本当に相手投手がカーブを投げる。そこで僕らも「なんでこのカウントでカーブなんだ? どうして監督はわかるんだ?」と、自然と配球などを考えるようになるわけです。

 この「考える野球」を、監督は常に僕らに説いていました。具体的な作戦では「この場面では、こう動け」と指示はあっても、普段は「自分で考えろ」としか言わない。もちろん、考えてもわからないことはありますが、監督にそれを聞けないのでコーチに聞きに行く。テレビで見ている人にとっては親しみやすい「ノムさん」であっても、僕ら選手にすれば「野村克也監督」は偉大で、近寄りがたい雰囲気があった。

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