「フライを打ち上げたから今日は使わない」と言われた恐怖
■時には間違えることも
あれも冗談だったのか、本気だったのか。
現役時代、僕がフリー打撃をしていると、ケージの後ろから、「フライ打ったら終わりな」とか、「はい、(打球を)打ち上げたから今日は使わない」なんて言ってくる。
口調は冗談半分だったけど、言われた僕は「打ち上げたらダメだ」と必死ですよ。
野村監督は打者のフライアウトを嫌っていました。フライだと野手が捕球するワンプレーで終わりだけど、ゴロなら捕球する選手、送球を受ける選手と複数のプレーになる。必然的にミスが起こる確率もフライよりは高くなる。僕は足も武器だったので、なおさら「フライを打つな、転がせ」と言いたかったのかもしれません。
もっとも、100%冗談で言ってたとしても、そうは受け取れないのが野村監督の怖さ。ベンチでのぼやきも、たまに間違えるんですよ。
でも、「監督、間違えましたね」なんて誰も言えませんでした。