未経験なのに…突然の二塁起用に「はい」としか言えず
今でも本当のことなのか、信じられない思いでいます。
今年2月11日、恩師の野村克也さん(享年84)が永眠されました。突然の訃報に「まさか」と、頭の中が真っ白になったのを覚えています。だって、僕はその2週間前にヤクルトのOB会でご本人と会ったばかり。腰が悪く車イスにこそ乗っておられましたが、まだまだ元気そうでした。「頑張ってるか」と声をかけてくれて、僕も「元気でいてくださいね」と話してから、そう時間は経っていませんでしたから。
翌12日、先輩の荒井幸雄さんと一緒に野村監督の自宅に行き、最後のお別れをしました。ヤクルトのユニホーム姿でリビングに横たわり、両目を閉じる監督の姿。手を合わせて焼香をしても、亡くなられたという事実を自分に納得させるのは難しかった。安らかに眠るお顔を見た時、「いまにも僕を怒ってきそうだ」と思ったのは、現役時代の思い出があるからでしょうね。僕は野村監督に怒られたり、注意されてばかり。それでも試合で使ってくれたことへの感謝しかありません。だから、亡くなられた今も、まだ信じられないでいる自分がいます。本当に寂しいという言葉しかありません。