<2>実家に戻った部員には具体的な練習方法も指示できず…

公開日: 更新日:

「昨年の秋季県大会で準優勝したけど、関東大会では花咲徳栄さんに力の差を見せつけられた。その悔しさをバネに冬を乗り切り、春に課題を見つけ、仕上げの夏……と思っていましたからね」と和田監督。冬場のトレーニングで鍛え、実戦で「課題」を見つけようとした矢先の休校・休部だったのだ。

 青写真通りにいかなくなったからといって、実家に戻った部員たちに“宿題”を課すわけにもいかなかった。6月1日の部活再開まで、具体的な指示を出せない事情があったという。

■出歩くだけでバッシング

「一応、『夏のユニホームを着たい子は各自、練習するように』とは言いましたが、あの時点では夏の大会があるかどうかもわからなかった。各家庭の環境もある。当時はコロナ禍で外出すらままならなかった。下手すれば、外を出歩いているだけでバッシングされかねなかった。例えば、実家周辺をランニングしていたら、近隣の人に『こんなご時世なのに、あそこの子は外を走り回っている!』なんて非難されるかもしれない。そうなれば、地域のコミュニティーを崩すだけでなく、その地域に住めなくなってしまいかねない。それに、練習しろといっても今は公園や河川敷の多くがボール遊びすら禁止です。とても具体的な練習方法なんて指示できませんでした」

 拓大紅陵OBで和田監督の2学年先輩、今年から母校の非常勤コーチを務める元ヤクルト外野手の飯田哲也氏(52)も頭を抱えた。 (つづく)

【連載】コロナ禍の高校野球 拓大紅陵の短い夏

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • 野球のアクセスランキング

  1. 1

    横浜とのFA交渉で引っ掛かった森祇晶監督の冷淡 落合博満さんは非通知着信で「探り」を入れてきた

  2. 2

    ヤクルト「FA東浜巨獲得」に現実味 村上宗隆の譲渡金10億円を原資に課題の先発補強

  3. 3

    日本人選手で初めてサングラスとリストバンドを着用した、陰のファッションリーダー

  4. 4

    ドジャース「佐々木朗希放出」に現実味…2年連続サイ・ヤング賞左腕スクーバル獲得のトレード要員へ

  5. 5

    中日からFA宣言した交渉の一部始終 2001年オフは「残留」と「移籍」で揺れる毎日を過ごした

  1. 6

    ドジャース内野手ベッツのWBC不参加は大谷翔平、佐々木朗希、山本由伸のレギュラーシーズンに追い風

  2. 7

    巨人は国内助っ人から見向きもされない球団に 天敵デュプランティエさえDeNA入り決定的

  3. 8

    巨人阿部監督の“育成放棄宣言”に選手とファン絶望…ベテラン偏重、補強優先はもうウンザリ

  4. 9

    楽天が変えたい「18番は田中将大」の印象…マエケンに積極譲渡で“背番号ロンダリング”図る

  5. 10

    ドジャース佐々木朗希の心の瑕疵…大谷翔平が警鐘「安全に、安全にいってたら伸びるものも伸びない」

もっと見る

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    松任谷由実が矢沢永吉に学んだ“桁違いの金持ち”哲学…「恋人がサンタクロース」発売前年の出来事

  2. 2

    ヤクルト「FA東浜巨獲得」に現実味 村上宗隆の譲渡金10億円を原資に課題の先発補強

  3. 3

    農水省「おこめ券」説明会のトンデモ全容 所管外の問い合わせに官僚疲弊、鈴木農相は逃げの一手

  4. 4

    早大が全国高校駅伝「花の1区」逸材乱獲 日本人最高記録を大幅更新の増子陽太まで

  5. 5

    timelesz篠塚大輝“炎上”より深刻な佐藤勝利の豹変…《ケンティとマリウス戻ってきて》とファン懇願

  1. 6

    早瀬ノエルに鎮西寿々歌が相次ぎダウン…FRUITS ZIPPERも迎えてしまった超多忙アイドルの“通過儀礼”

  2. 7

    国民民主党“激ヤバ”女性議員ついに書類送検! 野党支持率でトップ返り咲きも玉木代表は苦悶

  3. 8

    池松壮亮&河合優実「業界一多忙カップル」ついにゴールインへ…交際発覚から2年半で“唯一の不安”も払拭か

  4. 9

    波瑠のゴールインだけじゃない? 年末年始スクープもしくは結婚発表が予想される大注目ビッグカップル7組総ざらい!

  5. 10

    アヤックス冨安健洋はJISSでのリハビリが奏功 「ガラスの下半身」返上し目指すはW杯優勝