渋野日向子は“マンデー決勝”初体験 全米女子OP順延の吉凶

公開日: 更新日:

【全米女子オープンゴルフ

 この「順延」がどう影響するだろうか。

 全米で猛威を振るうコロナ感染拡大のため、本大会は6月から12月開催へ変更になり、無観客。予選ラウンド2日間は日没時間が早いためサイプレスクリークC、ジャックラビットCの2コースに分けて行われたのも全米女子オープン史上初めて。

 また、決勝ラウンドは例年なら1番ホールからツーサムのワンウエーが慣例だが、今年は1番、10番の2ウエー、スリーサムになるなど、コロナ対策もあって異例ずくめ。そして、月曜日に決勝ラウンドを行うのも、通算4アンダー単独首位に立っている渋野日向子(22)にとって初めての経験だ。

■3時間半待ちで中止

 この日は雷雲予報のため、スタート時間が当初より2時間早められ、渋野は9時35分(日本時間14日0時35分)だった。その25分前、渋野はパッティンググリーンで最終調整をしているときに雷雲接近のため競技中断のホーンが鳴った。選手たちはクラブハウスに戻り3時間以上待機。結局、コースコンディション不良と、午後も荒天予報のため現地12時40分に中止が決定。最終日の残りは翌日に順延となり、渋野は月曜日に18ホールを回ることになった。

 ちなみに、国内の冠大会が同じ状況なら最終日は即中止。3日目終了時にトップに立っていた渋野に優勝が転がり込んだはずだ。

■「台風」のようなリンクスの風

 渋野にとって今大会は、今季米女子ツアー7試合目。これまでも日本女子ツアーにはない「初体験」にいろいろ驚かされた。ディフェンディングチャンピオンとして臨んだ8月の「全英女子オープン」初日には、「台風の時ぐらいしかないんじゃないかと思った」という風速20メートル近い強風に翻弄された。海沿いの荒々しいリンクスコースに打ちのめされ通算12オーバー。ボロボロの予選落ちだった。

 10月の「全米女子プロ選手権」最終日では、渋野(通算11オーバー・58位)が最終18番のパーパットを沈めたときに拍手が聞こえ、表彰式の真っ最中だった。テレビ放映の都合で優勝争いをする最終組の後ろでプレーし、「優勝シーンをプレーしながら見る貴重な経験ができた」と変則ペアリングに苦笑い。下位選手を軽視するような扱いを受けたのも初めてだった。

「米ツアーで戦いたい気持ちが強い」という渋野は、そんな海外フォーマットにも対応していく必要がある。

 仕切り直しの最終日は、通算3アンダーの飛ばし屋エイミー・オルソン(28・世界ランク68位)、ツアー1勝の1アンダー、モリヤ・ジュタヌガーン(26・同48位)と同組だ。

 イーブンパーにはメジャー2勝を含むツアー10勝のアリヤ・ジュタヌガーン(25・同25位)やメジャー2勝を含むツアー15勝のL・コ(23・同40位)がいる。世界ランク1位のコ・ジンヨン(25)は1オーバー。経験豊富で、手ごわいプロが多い。

 戦う相手は強豪選手だけではない。初出場で初Vを狙う渋野にコースも牙をむく。

 この日は18組がスタートしており、14日(現地)も悪天候を考慮したピン位置は変わらない。それでも大雨が降りウエットになったフェアウエーはランが期待できず、6700ヤード超の距離はさらにタフになるうえ、グリーンも重くパッティングに苦労するはずだ。

大会主催のUSGAは選手に容赦なし

 何しろ大会主催者はUSGA(全米ゴルフ協会)だ。ルールを作り、世界のゴルフ界をリードする団体は日本女子プロゴルフ協会と違い、選手に甘くない。ボールに泥がついた時に拾い上げて汚れを取り、状況の良い場所にプレースしてプレーを再開するプリファードライを極力採用しない方針といわれる。打球は水たまりに止まらない限り、あるがままに打つことになる。渋野は運に左右されるケースが多くなるかもしれない。

 9月に行われた男子の「全米オープン」は、異次元の飛距離でB・デシャンボーが優勝した。その時は初日アンダーパーは21選手だったが、2日目6選手、3日目3選手と、日を追うごとに減っていき、最終日はデシャンボーただ一人だった。

 今大会も初日23人、2日目19人、3日目4人と減り続けているのも、USGAのコース設定が日増しに難しくなっているからで、最終的にアンダーパーは1人か2人、否、1人もいなくなることが予想される。通算4アンダーの渋野も、現在のスコアをキープするのは厳しいだろう。

 この日の気温は19度前後。14日は気温がかなり下がり、寒くなる予報だ。渋野には3日目以上に耐えるゴルフが求められる。

 渋野は14日8時25分(日本時間23時25分)にスタートする。

▽渋野日向子「目の前の一打に集中して優勝したい」

 朝からずっと天気予報を見て、今日は最終ラウンドをやるのかな、と思っていた。スタートする準備をして、気持ちを引き締めていたけど、すごい雨を見たらどうなの、と感じた。(3時間以上の待機中は)日本人選手のみんなとロッカールームのソファに座ってしゃべっていた。(順延は)気分転換にはなりました。明日は寒くなる予報なので、コースはウエットのままでボールは飛ばなくなる。首位で最終日を迎えており、優勝したい。明日は目の前の一打に集中して、私らしいプレーが18ホールできたらいい。

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    JリーグMVP武藤嘉紀が浦和へ電撃移籍か…神戸退団を後押しする“2つの不満”と大きな野望

  2. 2

    広島ドラ2九里亜蓮 金髪「特攻隊長」を更生させた祖母の愛

  3. 3

    悠仁さまのお立場を危うくしかねない“筑波のプーチン”の存在…14年間も国立大トップに君臨

  4. 4

    田中将大ほぼ“セルフ戦力外”で独立リーグが虎視眈々!素行不良選手を受け入れる懐、NPB復帰の環境も万全

  5. 5

    悠仁さまの筑波大付属高での成績は? 進学塾に寄せられた情報を総合すると…

  1. 6

    FW大迫勇也を代表招集しないのか? 神戸J連覇に貢献も森保監督との間に漂う“微妙な空気”

  2. 7

    結局「光る君へ」の“勝利”で終わった? 新たな大河ファンを獲得した吉高由里子の評価はうなぎ上り

  3. 8

    飯島愛さん謎の孤独死から15年…関係者が明かした体調不良と、“暗躍した男性”の存在

  4. 9

    巨人がもしFA3連敗ならクビが飛ぶのは誰? 赤っ恥かかされた山口オーナーと阿部監督の怒りの矛先

  5. 10

    中日FA福谷浩司に“滑り止め特需”!ヤクルトはソフトB石川にフラれ即乗り換え、巨人とロッテも続くか