白鵬引退後の親方就任がパアの可能性…元小結・板井の事例

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 医者からは「この状態で相撲を取ったら、もう二度と取れなくなる」と言われたようだが、丸1年間休場しておいて今更何をか言わんや、だ。

 16日、横綱白鵬(36)が突然休場を発表した。相撲協会に提出した診断書には「右膝蓋大腿関節軟骨損傷、関節水腫で手術加療を要する。術後、約2カ月のリハビリテーション加療を要する見込み」とあり、今月中に手術を行う予定だ。師匠の宮城野親方(元前頭竹葉山)によれば、白鵬は7月場所で進退を懸ける意向があるという。つまり、次の5月場所休場も決定だから、引退の引き延ばしと受け取られても仕方がない。

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■名跡取得へ向け動いているとのウワサ

 親方のひとりは「白鵬の右膝はもう限界ですよ」と、こう続ける。

「初日は大栄翔に寄り倒しで勝ったが、相手に体を預けるタイミングがあまりに早かったので気になっていた。元気な頃の白鵬なら、いくらスピード勝負とはいえ最後はきっちり体勢をつくって寄り切ったはず。すでに右膝に力が入らなかったと考えれば、イチかバチかの捨て身技も納得です。2日目の宝富士戦も、得意の右四つになりながら膠着。最後は左からの小手投げで決めたものの、あれも右膝に体重をかけていましたからね」

 白鵬にとって、右膝は長年抱えているバクダンだ。師匠の宮城野親方も、「何度も膝の水を抜いていた」と明かしている。最後に本場所を皆勤した昨年3月場所からほぼ丸1年休場(昨年7月は途中休場)してもこれなのだから、今更メスを入れたところで何が変わるというのか。

 晩節を汚しまくっているこの横綱に対しては、角界からも「引退すべきではないか」という声が上がっている。芝田山広報部長(元横綱大乃国)は16日、コロナ禍により先場所後に中止した横綱審議委員会の定例会を今場所後、2場所ぶりに開催すると明言した。横審はすでに白鵬と鶴竜(35)に「注意」を決議しており、「引退勧告」が出る可能性もある。

 すでに日本国籍を取得し、現時津風親方(元前頭土佐豊)がこれまで名乗っていた「間垣」の名跡取得にも動いているといわれる。東京五輪など心残りはあるだろうが、いっそ素直に引退した方が潔いのではないか。

 名跡取得へ向けて動いているとウワサされるように、すでに本人が引退後も視野に入れているのは間違いない。力士が引退後、親方になるのはある意味、既定路線。日本国籍を取得したのも年寄名跡を手に入れるためだし、だれもがゆくゆくは親方になるものだと思っている。まして現役時代に突出した成績を残した横綱は一代年寄が認められ、名跡がなくとも引退後5年間は現役時代のしこ名のまま親方でいられるのだ。

■協会には苦情の電話や投書が

 しかし、力士の引退=親方ではない。かつて年寄名跡――俗に言う親方株の襲名は、理事会の承認を経て決定されていた。それが2014年の新公益財団法人制移行後は規約が変更。相撲協会の定款第9章第47条3によれば「年寄名跡を襲名する者は、年寄資格審査委員会で審査した結果に基づき理事会で決定する」とある。つまり年寄資格審査委員会や理事会の「審査」を通ることが名跡を獲得する条件なのだ。

 優勝44回の単独記録をはじめ、白鵬の実績が過去類を見ないほど突出したものであることは言うまでもない。だが、その言動は土俵での成績をチャラにするくらい“突出”してヒドい。

 自分が負けた相撲で審判に物言いを要求し、それが通らないと「子供でもわかる相撲だ」とケチをつける。自分の優勝を祝うためだけに表彰式で観客に万歳三唱を求めたかと思えば、勝手に三本締めを促してけん責処分を食らったことも。ルールや規範は無視。土俵上では顔面狙いのエルボーを連発、何度注意されても勝負がついた後の駄目押しを繰り返していた。協会には「横綱としての品格はゼロ」「勝てば何をやっても構わないのか」といった苦情電話や投書がごまんと来ている。

 元横綱日馬富士による貴ノ岩暴行事件にしても、場をセッティングしたのは白鵬その人。日馬富士が貴ノ岩を殴るのを黙って見ていた男だ。

 協会に呼ばれて叱責された回数は数知れず。協会幹部からは「おまえの実績は数字に過ぎないんだよ!」と面罵されたこともある。土俵の内外でここまで言動のヒドい横綱はかつていなかった。

 ただでさえ、近年は前時津風親方(元前頭時津海)をはじめ、親方衆の不祥事が頻発。昨年大阪での3月場所では、中川親方(元前頭旭里)が宿舎に後援会の人間を連日招いて食事会を行っていたことが発覚した。コロナ禍での不要不急の外出禁止を守れず、遊び歩いて処分された親方も数人いる。

八百長告発で「春日山」襲名を承認されず

 今後は親方の素行・性格面も厳しくチェックする必要があるだけに、白鵬のような問題児は親方として認められない可能性もあるのではないか。

 前出の親方は「普通に考えれば現実味は薄いが……」と、こう続ける。

「白鵬も親方になるために帰化までしていますからね。それをはねつけられるほど、協会が非情になれるかどうか。ただ、引退後、親方になれなかった前例がなくはない。八百長告発で物議を醸した元小結の板井圭介がそうです。引退後、『春日山』を襲名する予定だったが、理事会で承認されず廃業した。不承認の理由は諸説あるが、表向きには素行に問題があったといわれています。すっかり王様気分の白鵬が引退後、ヒラの新米親方として一兵卒からスタートできるとは、到底思えない。人間の気質なんて、そう簡単に変わりませんから。その意味では、白鵬は板井と同じように、名跡継承を却下される可能性はゼロではありません」

 角界では「白鵬も横綱じゃなきゃ、とっくにレッドカード」と言われているものの、地位で処分の軽重が決まるのもおかしな話。協会は毅然とした対応をとれるかどうか――。 

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