照ノ富士3度目V 日本人がかなわないモンゴル力士の“粘り腰”
不屈の執念が奇跡を起こした――スポーツ紙風に言えばそんなところだろう。
元大関の照ノ富士(29)が、28日の千秋楽までもつれた優勝争いを制した。勝てば優勝という貴景勝との大一番。立ち合いから大関の突き押しで土俵際まで後退させられたものの、しぶとく反撃。一気呵成に前に出て、力自慢の相手を逆に押し出した。
優勝インタビューでは「(ファンの)応援がなかったら元の地位に戻ることができなかった。こうやって元の地位に戻ることができました」と、すでに大関復帰が決定したと先走ってしまったものの、異を唱える者はいない。大関昇進基準となる「三役で3場所33勝」どころか、36勝。しかも3場所目を優勝で飾ったとあればなおさらだ。
■良くも悪くも
親方のひとりは「この復活劇は日本人力士には無理でしょう」と、こう続ける。
「大関から序二段48枚目まで落ちた。200万円超あった月給はゼロ。身の回りの世話をしてくれる付け人もいない。待遇は天と地。ケガと病気が原因とはいえ、普通なら心が折れて引退ですよ。でも、日本人力士と違ってモンゴル人力士の執念は凄まじい。この日の相撲のように土俵際でも粘り強く、番付がいくら落ちても諦めない。序二段で復帰してから12場所、一度も負け越すことなく、ついに大関復帰を実現させた。本当にしぶとい。日本人力士も見習わなくちゃいけませんよ」