鶴竜突然の引退 横審の引導前に自ら決意で透ける第2の人生

公開日: 更新日:

 辞めろと言われるくらいなら、自分から辞めるということか。

 横綱鶴竜(35)が春場所11日目の24日、現役を引退した。この日の理事会で承認され、今後は年寄「鶴竜」を襲名、後進の指導にあたる。

 場所前の稽古で左太ももを肉離れ。今回で5場所連続休場だが、それでも本人は当初、現役に固執。それが急きょ、場所中に引退を決意したのは、場所後の横綱審議委員会(横審)を意識したからなのは想像に難くない。

 昨年11月場所後の横審は、白鵬(36)も含めた両横綱に対し「注意」を決議。これは2番目に重いもので、その後も休場の続く今回はさらに重い「引退勧告」が出される可能性もある。実際、横審の山内昌之氏(東大名誉教授)はスポーツ報知の取材に答えて、「このままいけば(今回は)やはり皆さん厳しい意見になるのではと思います」と話している。

 過去に引退勧告を食らった横綱は暴行が原因の朝青龍と日馬富士の2人。いずれも本人の引退と同時、あるいは引退後だった。

 現役の横綱が引退勧告を決議された例はこれまでないし、それでも横綱という地位にしがみついた場合の波紋の大きさにようやく気付いたのだろう。結果として横綱としての地位を汚しまくっていることに対しては、協会内でも批判的な声が圧倒的。引退後も協会内で親方として生きていく以上、今後の人生を考えてもマイナスにしかならないのだ。「横審に引退勧告を突きつけられた場合のダメージはハンパじゃない。そうなる前に渋々、自分から引退を決意したのではないか」とは、ある親方だ。

 なお、鶴竜本人と陸奥親方(元大関霧島)は25日、会見を開く。

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1
    西武フロントの致命的欠陥…功労者の引き留めベタ、補強すら空振り連発の悲惨

    西武フロントの致命的欠陥…功労者の引き留めベタ、補強すら空振り連発の悲惨

  2. 2
    西武の単独最下位は誰のせい? 若手野手の惨状に「松井監督は二軍で誰を育てた?」の痛烈批判

    西武の単独最下位は誰のせい? 若手野手の惨状に「松井監督は二軍で誰を育てた?」の痛烈批判

  3. 3
    巨人・小林誠司の先制決勝適時打を生んだ「死に物狂い」なLINE自撮り動画

    巨人・小林誠司の先制決勝適時打を生んだ「死に物狂い」なLINE自撮り動画

  4. 4
    全国紙が全国紙でなくなる?「新聞販売店」倒産急増の背景…発行部数の激減、人手不足も一因に

    全国紙が全国紙でなくなる?「新聞販売店」倒産急増の背景…発行部数の激減、人手不足も一因に

  5. 5
    花巻東時代は食トレに苦戦、残した弁当を放置してカビだらけにしたことも

    花巻東時代は食トレに苦戦、残した弁当を放置してカビだらけにしたことも

  1. 6
    日本ハムは過去2年より期待できそう 新外国人レイエスが見せつけた恐るべきパワー

    日本ハムは過去2年より期待できそう 新外国人レイエスが見せつけた恐るべきパワー

  2. 7
    大谷はアスリートだった両親の元、「ずいぶんしっかりした顔つき」で産まれてきた

    大谷はアスリートだった両親の元、「ずいぶんしっかりした顔つき」で産まれてきた

  3. 8
    【中日編】立浪監督が「秘密兵器」に挙げた意外な名前

    【中日編】立浪監督が「秘密兵器」に挙げた意外な名前

  4. 9
    WBCの試合後でも大谷が227キロのバーベルを軽々と持ち上げる姿にヌートバーは舌を巻いた

    WBCの試合後でも大谷が227キロのバーベルを軽々と持ち上げる姿にヌートバーは舌を巻いた

  5. 10
    裏金自民に大逆風! 衆院3補選の「天王山」島根1区で岸田首相の“サクラ”動員演説は大失敗

    裏金自民に大逆風! 衆院3補選の「天王山」島根1区で岸田首相の“サクラ”動員演説は大失敗