楽天・田中に下半身故障のトラウマ 3週間での復帰は可能か

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 本当に軽症だと信じていいのか。

 右ふくらはぎのヒラメ筋損傷で離脱した楽天田中将大(32)。開幕2戦目(27日=日本ハム戦)に先発予定だったが、25日の練習中に右ふくらはぎに違和感を覚え、病院で診断を受けた結果、故障が判明した。

 試合復帰まで約3週間かかる見込みだというから、一軍登板は早くても4月下旬以降となりそうだ。石井監督は抹消後も一軍帯同させており、投げられない状況ではないと、あくまで軽症であることを強調しているのだが……。

 野球評論家のギャオス内藤氏が言う。

「高い年俸(9億円+出来高)をもらい、プロ野球ファンの期待と注目を一身に集める中で楽天へ復帰した。これまで石井監督の下、自由にノビノビと調整してきたとは思いますが、日本で活躍しないといけない、結果を残さないといけないというプレッシャーが影響したのかもしれません。幸い、開幕3戦目に先発したドラ1新人の早川(早大)が好投。田中が離脱している間の穴を埋めるメドが立ちそうなことが救い。万全な状態で戻ってきてもらいたいですね」

■軟らかいマウンドで右脚に負担が…

 ただ、田中には不安要素もある。これまで、何度か足の故障に悩まされてきたからだ。

 メジャー挑戦前の2010年、練習で短距離走を行っている際に、右太ももを肉離れし、約1カ月離脱した。復帰後には足をかばったこともあったのか、右大胸筋を部分断裂し、9月以降は1試合も投げることができなかった。

 ヤンキース時代の15年には両太ももの張りで、6月と9月に先発を回避。18年は走者としてタッチアップした際に、再び両太ももを故障。当初は「張り」だとしていたが、結果的に約1カ月間にわたり、故障者リスト入りした。

 スポーツ障害が専門のメディカルトリート代々木治療室の若月順院長はこう解説する。

「田中投手が痛めたヒラメ筋は、ふくらはぎの下の方にある筋肉。右足は軸足ですから、投球時は主にプレートを蹴る際に使う。田中投手は当初、『(踏み出す前の左足が着地点に)うまくハマらず、アメリカで投げていた感覚が抜けきれない』と言っていた。オープン戦当初は、あえて全力投球をせず、徐々に日本のマウンドに慣れようという意図が垣間見えた。下半身が安定しない状態で力を入れれば、上半身に頼った投げ方になる。肩や肘への負担を考慮していたのでしょう。ただ、軟らかいマウンドで左足の体重移動がうまくいかず、右足の蹴りなどでカバーしようとした結果、過度な負担がかかったのかもしれません」

右肘にも“爆弾”抱え…

 過去の太ももの肉離れが遠因になっている可能性もあるという。

「マウンドの違いに加え、太ももをかばうことで、ふくらはぎに負担がかかっていた可能性も否定できません」(若月氏)

 今後への影響も懸念される。ただでさえ、ふくらはぎの肉離れはクセになりやすいといわれている。田中は今オフのメジャー再挑戦も視野に入れており、好条件を得るためには日本での結果が欲しい。ケガの再発による長期離脱は何としても避けたいはずだ。前出の若月氏が言う。

「今後の影響として想定されるのは、損傷箇所の回復具合です。肉離れ(損傷)の度合いにもよるのですが、筋肉のキズが深い場合や、何度かケガを繰り返した場合、筋肉が完全に再生されず、筋肉とは異質の『結合組織』によって修復されるケースがある。結合組織は筋肉のような柔軟性がなく、毛細血管とはつながらないため、常に血流が悪い状態になる。パフォーマンスの効率が落ちれば、故障を再発しやすくなる。疲労の蓄積が再発の呼び水になるため、田中投手も敏感にならざるを得ないでしょう」

 ケガを防ごうとすれば、なるべく下半身に負担をかけないようにする必要がある。日本のマウンドに適応するには、下半身の使い方がポイントになるが、実際、その過程で、ふくらはぎがパンクした。故障の再発を恐れれば、適応にさらなる時間を要する可能性もある。

 しかも、田中は14年に右肘内側側副靱帯を部分断裂している。“爆弾”を抱える中、ふくらはぎを気にして上体に頼った投げ方になれば、今度は肘への影響が出かねない。

 いくら実績のある田中といえども、足や肘を気にして全力で投げることができなければ、簡単に抑えることはできないだろう。ファンの期待に沿うような活躍を見せるためにはまず、故障のトラウマを払拭する必要がありそうだ。

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