阪神開幕ダッシュ成功も 最大の敵は第4波「緊急事態宣言」

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「コロナ禍で気持ちが沈みがちですが、この快進撃は救いですね」

 こう語るのは、阪神ファンの麻生千晶氏(作家)だ。

 開幕ダッシュに成功した阪神は敵地で巨人に負け越したものの、2位に2ゲーム差をつけた首位。23日から甲子園でDeNAを迎え撃つ。気の早いファンは「ゴールデンウイークが終わるまでに首位固めや!」と気炎を上げているが、そんなムードに水を差すのが新型コロナウイルス感染対策のため、25日から大阪府、兵庫県、京都府、東京都に再発令される緊急事態宣言。期間は5月11日までの見込みだ。

 22日、コロナの新規感染者が1167人を記録した大阪府は、重症患者も激増中。病床の確保が追いつかず、すでに医療崩壊が始まっている。3度目の宣言を出すよう要請した吉村洋文知事は、「今回の宣言の中身というのを、街における人流を抑制するくらい強いものにしていく」と決意を語った。宣言が発令された場合、百貨店やテーマパーク、大規模商業施設などに休業を要請する考えだ。プロ野球やJリーグなどのスポーツイベントも「原則、中止か延期すべき。もしくは無観客」と述べている。

■よい流れにブレーキ

 プロ野球が中止や無観客になれば、首位を走る阪神にとっては大きな痛手だ。

「今年はよく打つし、見ていてすがすがしい勝ち方です。大きなホームランをかっ飛ばす新人の佐藤輝明選手は22歳でも堂々としているし、大山選手の打撃も、これまでにはなかった積極性が見える。梅野捕手はリードもいいし、マルテ、サンズの外国選手もよく活躍している。投手陣も藤浪君が復活を果たした。2005年以来の優勝へ千載一遇のチャンスじゃないですか。それが、いっときでも公式戦が中止になれば、ここまでのよい流れが止まってしまわないか心配です」(麻生氏)

 これが阪神ファンの本音だろう。

無観客は紅白戦みたい

 仮に中止によるブレーキは避けられたとしても、人流を抑えるために有観客での開催は無理だろう。

 阪神OBが言う。

「無観客でもチームへの影響は少なからずあるでしょう。例えば、今の阪神は20代の若手が多い。ムードメーカーのマルテや佐藤輝のホームラン後のパフォーマンスなどでベンチは盛り上がり、ファンと一体になる。観客がいないと、そんなパフォーマンスもシラけてしまう。コロナで開幕が遅れた昨季も、序盤は無観客で行われた。どこのチームよりも熱く、心強い存在の阪神ファンがいないので、『まるで練習試合や紅白戦みたい』と漏らした選手がいましたから。それでも、中止になるよりマシですが」

■助っ人問題

 4都府県に緊急事態宣言が発令される中で、プロ野球が無観客で行われることになっても、阪神は別の難問を抱えている。それがぜいたくな助っ人問題だ。

 コロナ禍の特別ルールにより、一軍の外国人登録枠は5人(通常シーズンは4人)になったが、1試合の起用はこれまで通り4人までだ。

 4戦4勝の2年目右腕ガンケルに、昨季セーブ王のスアレスは外せない。マルテ(打率・293、6本、13打点)とサンズ(同・274、6本、17打点)も好調だ。

「だから矢野監督も頭が痛い。野手は当初、韓国2冠王の新助っ人、ロハス・ジュニア(30)を左翼に起用。マルテとサンズの2人を一塁で競わせるはずだった。ところが、コロナによる入国制限でロハスと韓国最多勝右腕・アルカンタラ(28)の来日が大幅に遅れた。現在、マルテとサンズはよく打っているし、ロハスとアルカンタラが入団会見を行った翌日の20日も、マルテが2発3打点、サンズも1発を放った。監督は好調なときにスタメンや打線はいじりたくないもの。21日からロハスはファームの試合に出場し、一軍からお呼びがかかるのを心待ちにしている。矢野監督からすれば、1カ月ぐらい二軍で調整していて欲しいはずだが、2億6000万円の高給取りを長いこと二軍に置いておくわけにもいかない。ロハスだって納得しません。仮に当たっているマルテを外して強引にロハスを使えば、チーム内に不協和音を生み出す。ちなみにアルカンタラは、中継ぎのエドワーズを二軍に落とせば先発で使えますが……」(前出のOB)

 ビクトリーロードを阻むのはコロナか、それとも豊富な助っ人陣か。

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