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後藤逸郎ジャーナリスト

1965年生まれ。毎日新聞大阪経済部次長、東京本社特別報道グループ編集委員などを経て現職。著書に「オリンピック・マネー 誰も知らない東京五輪の裏側」(文春新書)。

日本国民がIOCや組織委を訴える権利 感染者の賠償請求も

公開日: 更新日:

 国際オリンピック委員会(IOC)と東京都、組織委員会が結んだ東京2020オリンピック・パラリンピック大会開催都市契約は、日本側からIOCに賠償請求する権利「求償権」を放棄した“不平等条約”だ。

 しかし、オリンピック強行開催で新型コロナウイルス感染爆発が起きた場合、日本国民がIOCや組織委に損害賠償を起こす権利を妨げるものではない。

「考えたことはない。あるのかどうかも見当もつかない」

 組織委員会の武藤敏郎事務総長は5月13日、大会中止の場合、IOCから違約金や賠償金を請求される可能性について問われ、とぼけてみせた。武藤氏は財務省次官、日本銀行副総裁を歴任した人物だ。中止時の損害を試算せず、訴訟リスクを検討していなければ、事務方の最高責任者として重過失は免れない。

 組織委は公益財団法人であり、民間法人の一種だ。各種契約を結ぶ権利もあれば、故意、過失による賠償責任も負う。組織委は大手広告代理店の電通や大会スポンサーなどの民間企業のほか、中央官庁、地方自治体から出向した公務員で構成される。公務員は国家賠償法により、公権力行使中の個人賠償責任を免除される。しかし、法務省と人事院によると、出向中の公務員が行う民間事業の行為には適用されない。民間からの出向者は言うまでもない。

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