後藤逸郎
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後藤逸郎ジャーナリスト

1965年生まれ。毎日新聞大阪経済部次長、東京本社特別報道グループ編集委員などを経て現職。著書に「オリンピック・マネー 誰も知らない東京五輪の裏側」(文春新書)。

日本国民がIOCや組織委を訴える権利 感染者の賠償請求も

公開日: 更新日:

 開催都市契約は組織委が負担できない金銭を都が補うと定める。都が負担できない分は国が保証している。中止すれば「5000億~1兆円」の賠償金が必要との風説が流れており、消極的ながら開催を支持する人も少なくない。

 だが、強行開催でコロナ禍による生命の危機や経済損失が避けられないのであれば、中止は合理的な判断だ。それでIOCが賠償請求するのであれば、司法の場で争うしかない。結果、組織委の賠償責任が認められたとして、全額を都民、国民が負担することはない。

 大会運営要件によると、組織委は大会関係者の宿泊用に契約したホテル代金の残額を開催3カ月前に支払う。まず開催の是非はこの時までにすべきだった。観客の有無の決定時期の先送りに伴う、不要な費用を発生させた責任は組織委にある。IOCへの賠償金を負担する都民、国民は、組織委幹部らに賠償を求めることができる。また、強行開催で経済損失を受け、感染した個人がIOCに賠償請求することも考えられる。

 開催都市契約は、「参加者の安全が理由の如何を問わず深刻に脅かされると信じるに足る合理的な根拠がある場合」、IOCは大会を中止できるとある。本来、強行開催の責任はIOCが負うべきもののはずだ。 =つづく

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