JOCはショック! 経理部長自殺で囁かれる「五輪とカネ」

公開日: 更新日:

 東京五輪開催を46日後に控えた7日、JOC(日本オリンピック委員会)の幹部が飛び込み自殺――というショッキングなニュースに衝撃が広がった。

 7日午前9時20分ごろ、東京都品川区の都営地下鉄浅草線中延駅で、JOCの経理部長、森谷靖さん(52)が2番線ホームから線路に飛び込み、普通列車にはねられた。森谷さんは病院に搬送されたが、2時間後に死亡が確認された。森谷さんはスーツ姿で、遺書は見つかっていない。

■ネット上ではさまざまな憶測が

 世論の多くが東京五輪の中止を求める一方、政府は強行開催に突き進んでいることから、ネット上ではさまざまな臆測が入り乱れている。

〈「経理部長」職ということは、既に帳簿が「紛失」したりとか、表に出せない事情や事態が山盛りあるのでは……?〉〈公にはできない秘密を隠し続けることが耐えられなかったのか〉

 先月26日に行われた衆院文科委員会では、東京五輪組織委員会が広告代理店に委託している会場運営のディレクターの1日当たりの人件費が35万円と、あまりにも高額だという指摘が野党議員からあった。さらに今月5日には、会場準備を担当する組織委員会の現役職員がJNNの「報道特集」に出演。会場運営の業務委託を受けた広告代理店に、10~15%の「管理費」を支払うという不透明な金の流れを証言した。

 そのため〈国会でも追及が始まった「不審なカネの流れ」と自殺との間に何らかの関連性があるのではと推察せざるを得ない〉〈先週末の報道特集で匿名で洗いざらい証言してたJOC職員ってひょっとすると……〉といった書き込みがあったが、組織委員会とJOCは全く別の組織で、自殺した経理部長とテレビで証言した現役職員は、職種も違えば立場も異なる。

とにかくマジメで優秀と評判だった

 亡くなった森谷さんは、どのような人だったのか。

「埼玉の名門進学校・県立浦和高を出て、法政大に進学した。卒業後は堤義明氏が実質オーナーを務めていた国土計画に就職しました。とにかくマジメで優秀と評判でしたから、こんな五輪のゴタゴタなどで、自ら命を落とすなんて考えられません」(五輪担当記者)

 森谷さんは90年代前半、国土計画からJOCに出向。国土計画を辞職後、そのまま再雇用され、以来、経理を担当していた。

 2007年以降、JOCの加盟団体である日本スケート連盟や全日本柔道連盟、日本ホッケー協会、日本体操協会、日本フェンシング協会など競技団体の不正受給が相次ぎ、その際、会計監査から呼び出されることもあったようだ。これを受け、JOCは、文科省から東京五輪に向け、さらなるガバナンス強化策を求められていた。

 JOCの職員たちは森谷さんの自殺の原因について思い当たるようなフシはなく、ショックを受けているそうだ。遺書が出てくれば動機が判明する。

 ◇ ◇ ◇

【相談窓口】

■日本いのちの電話連盟

 ●ナビダイヤル 0570・783・556
  午前10:00~午後10:00

 ●フリーダイヤル 0120・783・556
  毎日:午後4:00~午後9:00
  毎月10日:午前8:00~翌日午前8:00

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    立花孝志容疑者を"担ぎ出した"とやり玉に…中田敦彦、ホリエモン、太田光のスタンスと逃げ腰に批判殺到

  2. 2

    阪神・佐藤輝明にライバル球団は戦々恐々…甲子園でのGG初受賞にこれだけの価値

  3. 3

    FNS歌謡祭“アイドルフェス化”の是非…FRUITS ZIPPER、CANDY TUNE登場も「特別感」はナゼなくなった?

  4. 4

    阪神異例人事「和田元監督がヘッド就任」の舞台裏…藤川監督はコーチ陣に不満を募らせていた

  5. 5

    新米売れず、ささやかれる年末の米価暴落…コメ卸最大手トップが異例言及の波紋

  1. 6

    兵庫県・斎藤元彦知事らを待ち受ける検察審の壁…嫌疑不十分で不起訴も「一件落着」にはまだ早い

  2. 7

    カズレーザーは埼玉県立熊谷高校、二階堂ふみは都立八潮高校からそれぞれ同志社と慶応に進学

  3. 8

    日本の刑事裁判では被告人の尊厳が守られていない

  4. 9

    1試合で「勝利」と「セーブ」を同時達成 プロ野球でたった1度きり、永遠に破られない怪記録

  5. 10

    加速する「黒字リストラ」…早期・希望退職6年ぶり高水準、人手不足でも関係なし