著者のコラム一覧
三枝成彰作曲家

1942年、兵庫県生まれ。東京芸大大学院修了。代表作にオペラ「忠臣蔵」「狂おしき真夏の一日」、NHK大河ドラマ「太平記」「花の乱」、映画「機動戦士ガンダム逆襲のシャア」「優駿ORACIÓN」など。2020年、文化功労者顕彰を受ける。

東京五輪の“学芸会”開閉会式は日本のダサさと思考停止ぶりを世界に知らしめた

公開日: 更新日:

 案内役の女性たちのマタニティーウエアのような衣装も意味不明である。日本は三宅一生さんや山本耀司さんら気鋭のデザイナーが画期的なセンスで世界を驚かせたファッション先進国ではなかったのか? このダサさはもうどうしようもないと思った。

 自衛隊が毎年行う「音楽まつり」には、礼服姿の防衛大学の学生たちが出演する。これが実に格好いい。閉会式の国旗掲揚には選りすぐりの防大の学生や自衛隊の儀仗隊を出せばよかったのにと思う。世界へのとっておきのプレゼンにこそ見目麗しい人材を投じ、日本人の凛とした美しさを見せるべきだった。それに比べてパリの次回大会のアピールは素晴らしかった。完全に日本は負けていた。

 かつての日本人には、あえて崇高で難しいテーマに取り組み、わからないことを理解しようとする気概があった。そのための努力をいとわなかった。それがこの国を発展させてきた一因のはずなのに、いつのまにか私たちの中から抜け落ちた。代わりにはびこっているのは、流行やウケのよさや実利ばかりを優先し、安直な方向に流れる広告代理店的で商業主義的な発想だ。

 オリンピックはスポーツだけではなく、その国の“芸術力”のショーウインドーでもある。今回の開会式と閉会式で、もはや日本が尊敬に値する国ではないことを、私たちははからずも世界にアピールする結果となった。

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    福山雅治「フジ不適切会合」参加で掘り起こされた吉高由里子への“完全アウト”なセクハラ発言

  2. 2

    福山雅治イメージ大暴落…「路上泥酔女性お持ち帰り」発言とファンからの"賽銭おねだり”が時を経て批判集中

  3. 3

    参政党・神谷宗幣代表の「質問主意書」がヤバすぎる! トンデモ陰謀論どっぷり7項目に政府も困惑?

  4. 4

    フジテレビ「不適切会合」出席の福山雅治が連発した下ネタとそのルーツ…引退した中居正広氏とは“同根”

  5. 5

    文春が報じた中居正広「性暴力」の全貌…守秘義務の情報がなぜこうも都合よく漏れるのか?

  1. 6

    福山雅治がフジ第三者委「有力番組出演者」と認めた衝撃…NHKの仕事にも波及不可避、ファンは早くも「もうダメかも…」

  2. 7

    福山雅治のフジ「不適切会合」出席が発覚! “男性有力出演者”疑惑浮上もスルーされ続けていたワケ

  3. 8

    福山雅治「ラストマン」好調維持も懸案は“髪形”か…《さすがに老けた?》のからくり

  4. 9

    【独自!】国民民主党にまた不祥事…63歳“激ヤバ”新人都議がコンサル報酬「不払い」でトンズラ

  5. 10

    【武道館チケット入手記念】2013年ザ・タイガース武道館公演の感想「発掘」