ベルギー1部ゲンクMF伊東純也 日本代表の窮地を救う“金髪サイドアタッカー”の覚醒前夜

公開日: 更新日:

 サッカー日本代表にこの男がいなかったら……と思うとゾッとする。

 昨年9月に始まったW杯アジア最終予選。初戦のオマーン戦を落として暗雲が垂れ込める中、2試合目の中国戦で決勝ゴールをアシストすると、2勝2敗で迎えたベトナム、オマーンとの敵地2連戦では立て続けに決勝点を決めた。

 森保ジャパンの屋台骨を支える俊足の金髪サイドアタッカーを知る3人に聞いた。

西谷綾子(千葉テレビ 柏レイソル応援番組「Rising Reysol!」MC・タレント)

■5年前に聞いた「将来像」の通りに!

「2016年に柏入りしたころは『人見知りだなぁ~』なんて思っていましたが、17年に番組に出ていただいた時など本音を包み隠さず、とても自然体で話していただきました。16年シーズンに7得点を決めましたが、その時点で海外組のひとりになるとか、日本代表のキープレーヤーになるとか思いませんでした(ごめんなさい!)。でも、そのころの番組を見直しながら気付いたことがあります。将来どんな選手になりたいですか? という質問をフリップに書いてもらったのですが、素早くサラサラッと<なんでもできる選手>と書いてくれました。伊東選手は『アシストもゴールもシュートもドリブルも全部できる選手。目指すところはそこっすね』と照れくさそうに、でも真剣な表情できっぱり言い切ってくれました。W杯最終予選、まさに<目指す選手>になっているじゃないですか! 自分の将来像を決め、そこに迷わず突き進んでいく。伊東選手! これからも柏のユニホームを着ながら応援していきますね!」

六川亨(元サッカーダイジェスト編集長)

■ついに覚醒した点取り屋

「伊東以外に浅野拓磨前田大然ら代表の前線にはスピードスターが揃っているが、右サイドのレギュラーをがっちりつかんでいるのが伊東だ。W杯最終予選の敵地ベトナム戦(11月11日)、同17日の敵地オマーン戦で連続して決勝点を決め、日本をグループBの2位に押し上げる立役者となった。この2試合の結果次第では、森保監督の進退問題に発展しかねなかった。指揮官にとっても救世主だった。2016年に甲府から柏へ移籍。クリスティアーノ、D・オリベイラと強力3トップを組んで脚光を浴びると17年には日本代表にも選出された。しかし20年までに20試合に出場したものの、2ゴールにとどまっていた。それが21年は3月のモンゴル戦の2ゴールを皮切りに9試合で5ゴールと<点取り屋>として覚醒。森保日本で今、最も頼りになるサイドアタッカーだ」

元川悦子(サッカージャーナリスト)

■ボサボサ頭の強心臓

「自分はプレッシャーを力にできるタイプ。全然チャンスがあるので結果を出していければいい」

 カタールW杯出場に黄信号がともった2021年10月。最終予選・豪州戦前に寝ぐせの付いた金髪のボサボサ頭でオンライン取材に応じ、こう言った。

 天然なのか、鈍感なのか、いずれにしても強心臓の男は11月のアウェー2戦で連続決勝弾を挙げ、日本の救世主となった。年代別代表経験皆無でプロデビューは甲府。

 そんな雑草FWと初めて話したのは17年の東アジアE-1選手権だ。口数の少ない彼に(取材では)手を焼かされたものだが、18年2月の単独取材で打ち解けてくれたようで19年秋のゲンク現地取材時には「わざわざ来たんですね」と声をかけられた。

 直近のオマーン戦でもグータッチに応じる気さくな一面をのぞかせた。直後に結婚を発表。いい伴侶に恵まれ、遅咲きの快足アタッカーの真のピークはここからだ。

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    阿部巨人V逸の責任を取るのは二岡ヘッドだけか…杉内投手チーフコーチの手腕にも疑問の声

  2. 2

    巨人・桑田二軍監督の電撃退団は“事実上のクビ”…真相は「優勝したのに国際部への異動を打診されていた」

  3. 3

    クマ駆除を1カ月以上拒否…地元猟友会を激怒させた北海道積丹町議会副議長の「トンデモ発言」

  4. 4

    巨人桑田二軍監督の“排除”に「原前監督が動いた説」浮上…事実上のクビは必然だった

  5. 5

    クマ駆除の過酷な実態…運搬や解体もハンター任せ、重すぎる負担で現場疲弊、秋田県は自衛隊に支援要請

  1. 6

    露天風呂清掃中の男性を襲ったのは人間の味を覚えた“人食いクマ”…10月だけで6人犠牲、災害級の緊急事態

  2. 7

    高市自民が維新の“連立離脱”封じ…政策進捗管理「与党実務者協議体」設置のウラと本音

  3. 8

    阪神「次の二軍監督」候補に挙がる2人の大物OB…人選の大前提は“藤川野球”にマッチすること

  4. 9

    恥辱まみれの高市外交… 「ノーベル平和賞推薦」でのトランプ媚びはアベ手法そのもの

  5. 10

    引退の巨人・長野久義 悪評ゼロの「気配り伝説」…驚きの証言が球界関係者から続々