春日良一
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春日良一五輪アナリスト

長野県出身。上智大学哲学科卒。1978年に日本体育協会に入る。89年に新生JOCに移り、IOC渉外担当に。90年長野五輪招致委員会に出向、招致活動に関わる。95年にJOCを退職。スポーツコンサルティング会社を設立し、代表に。

(6)五輪標語を変えたIOCバッハ会長はますます難しい舵取りを迫られる

公開日: 更新日:

 提案者はIOCバッハ会長である。創始者の言葉を変えるのだから、よほどの覚悟があったはずだ。昨年3月のリモート総会で会長に再選された直後の演説でモットーの刷新を提案し、「より速く、より高く、より強く」に「共に」という言葉を付け加えようと強く訴えた。コロナ禍の厳しい状況の中で東京五輪に向けて努力している選手たちに「皆で一緒に」と励ますメッセージを込める意図であった。コロナ禍での五輪は開催されたが、戦争という新たな障害がやってきた。

■「世界」と「平和の祭典」を危機にさらす国々がある現実

 ロシアのウクライナへの軍事侵攻にIOCは勧告を出し、競技会を管轄する各国際競技連盟などに対し、主催大会にロシアとベラルーシからの選手、関係者を参加させないように求めた。しかし、選手が属する国の政府がどんな決定をしようが、その決定に関与していない選手を裁くことは、政治、宗教、人種などあらゆる差別を超えてスポーツをする権利を主張するオリンピズムと矛盾しないか?

 私はIOCにそのことをただした。「国連決議されたオリンピック休戦をロシアが破ったことに立場を示す必要があった」との答えが来た。

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