佐々木朗希2戦連続「完全投球」! 直球とフォークの平均回転数で見えた“規格外”ぶり

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 令和の怪物がまたも驚異の投球を見せた。

 10日のオリックス戦で完全試合を達成したロッテの佐々木朗希(20)が17日、日本ハム戦に先発し、8回無安打無四球無失点の完全投球をした。

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 最速163キロの速球と、140キロ台の高速フォークを軸に、5者連続を含む14個の三振を奪った。8回102球で降板し、2試合連続の完全試合達成はお預けとなったが、17イニング連続無安打のプロ野球記録を更新。向かうところ敵なしだ。

 その佐々木朗について、日刊ゲンダイは複数の球界関係者から完全試合を達成した10日のオリックス戦(ゾゾマリン)での投球データを入手した。

 佐々木朗はその試合、ストレート64球(平均159.8キロ)、フォーク(平均146.2キロ)36球を投じた。ストレートの平均回転数は、4月中旬時点のNPB投手の平均値(約2200)、メジャーの右投手の2021年の平均値(2283)を大きく上回る約2450。中には2500台に達する球もあり、ホップ成分を示す縦(上向き)の変化量も平均以上だった。回転数は投げる球場やその日の天候などによって変わることもあるものの、回転数が多いほど、ボールにノビやキレがあるといわれる。

 実際、オリックスや日本ハムの打者は当てるだけで精いっぱいだったが、佐々木朗は常時160キロのハイスピードボールを投げる上に、身長192センチでリリースポイントも高い。動作解析に詳しい筑波大野球部監督の川村卓准教授は日刊ゲンダイのインタビューで、「体幹が強くなって足元がしっかりと固定されたことで、腕の角度が安定して、きれいなバックスピンのボールが増えた」と話した。ロッテOBは、「高校時代には際立っていたシュート変化量が減り、回転の効率が良くなった分、ボールの質が向上したのではないか。フォークも含めて制球力も高く、空振りをとる球と、ファウルを打たせる球を使い分ける技術も兼ね備えている。しかも力んだ際に時折、シュート回転するので、右打者は容易に踏み込めない」と見る。

「野茂フォーク」を身に付ければ鬼に金棒

 フォークの回転数はNPB平均値(約1400)を大きく下回る約1150だった。フォークの神様といわれる杉下茂氏は「ホンモノのフォークは回転しない」と言っていたが、「スプリットのように小さく鋭く落ちるというより、回転数が少ない分、高速でストンと大きく落ちる。10日のフォークのストライク率は約83%とかなり高かった。しかも、この日(17日)の二回、近藤を内角フォークで空振り三振に打ち取ったように、内角にフォークを投げ切れる制球力がある投手はなかなかいません」(前出のOB)

 しかも佐々木朗は成長過程にあるという。本人は「伸びしろがあると思っている」と、キャンプ中にカーブの習得に励んだ。

「オリックス戦では吉田正相手に2球連続でカーブを投じた後、フォークで三振に打ち取った。今の佐々木朗はストレートとフォークが中心で球速帯は大きく分けると2つしかない。ここにカーブが加われば、緩急のメリハリがつくというわけです。試合では数球しか投げておらず、カーブに磨きがかかればますます投球の幅が広がる」(前出のOB)

 あるデータ分析の専門家は、「フォークも可能性を秘めている」と言う。

「かつての野茂英雄はストレートとフォークの見極めを難しくするため、バックスピンをかけた回転量が多いフォークを投げていました。佐々木朗が『野茂フォーク』を身に付け、回転数が少なく落差が大きいフォークとの使い分けができるようになれば、まさに鬼に金棒でしょう」

 今でもトンでもない投手なのに、これ以上パワーアップしたら、末恐ろしい……。 

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