佐々木朗希プロ新13連続K・同タイ1試合19Kで完全試合! 3年目の進化を生んだカラダの秘密

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 剛球がうなりを上げるたびに、打者のバットが空を切った。

 弱冠二十歳のロッテ・佐々木朗希が10日のオリックス戦で、巨人の槙原寛己以来28年ぶり、史上16人目の完全試合を達成。プロ野球新記録となる13者連続奪三振、同タイ記録の1試合19奪三振という、とんでもないオマケまで付いた。

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 初回2死から吉田正を三振に取って“佐々木劇場”は開幕。五回まですべてのアウトを三振で奪い、六回に紅林に中飛を打たれて、ひとまず劇場閉幕である。これまでの連続三振記録は1957年の梶本隆夫(阪急)、58年の土橋正幸(東映)による「9」が最多。佐々木はその記録を大幅に更新した。

 しかし、まだまだ三振を奪い足りなかったのか、六、七回に1つずつ、八回も3者連続三振。九回2死から代打・杉本を空振り三振に打ち取り、終わってみれば95年の野田浩司(オリックス)に並ぶ1試合最多の19奪三振だった。ちなみにロッテの同記録は79年の村田兆治による「16」が最多。偉大な先輩超えを果たした。

 これには試合の実況アナが「我々は歴史的瞬間に立ち会っています」と興奮すれば、解説の元ロッテ監督・有藤通世氏も「今は昔に比べてバッティング技術が相当上がっている。その中での19三振は凄い」と、脱帽することしきりだった。

 試合後の佐々木はお立ち台で「完全試合? あまり意識していなかった」と話すと、「打たれたらそれでいいかなと思って、最後まで松川のリードを信じて投げました」と、謙虚な姿勢を崩さなかった。

開幕後も定期的にジム通い

 自己最速タイとなる164キロをマークすること2度。120キロ台のカーブや、フォークの握りでスライダーさながらに横滑りする変化球を駆使して、早いカウントから追い込んだ。これだけ三振を取りながら、終わってみれば9回105球の省エネ投球。2ストライクに追い込めば、落差のある140キロ台後半のフォークと160キロ超の直球という究極の二択。七回には吉田正から163キロの内角直球で3打席連続となる三振を奪った。

 試合後の本人は昨季との違いを聞かれ「慣れてきているし、パフォーマンスが向上。自信をもって投げることができている」と話したが、プロ3年目にして完投すらなかった20歳がドデカイ仕事をやってのけた理由はそれだけか。

 今季は3月27日の楽天戦から中6日で投げている。昨季途中まで10日以上、間隔を空けなければならなかったのが、通常のローテーションで投げられるようになった要因のひとつは「体が強くなったこと」(ロッテOB)だろう。

「昨シーズン終了後だと思いますが、都内のジムに通ってトレーニングに力を入れるようになったと聞きました。それまでは、ウエートトレーニングより体のバランスを重視したトレーニングを重点的にやっていたようですが、シーズンを通して投げるためにも体を強化する必要性を痛感したのでしょう。基本的に体幹を鍛えたそうで、ジムには開幕してからも定期的に通っていると聞きました」

■自ら「中6日でいけます」と

 張りや痛みに関して人一倍、ナーバスだった佐々木が、最近は体の異常を訴えるケースがほとんどなくなったという。前出のロッテOBがこう言った。

「一昨年までは肩肘の張りや痛みを訴えるケースが多かった。それゆえ登板間隔を空けざるを得なかったのです。けれども昨季は夏場に腰に痛みが出た程度とか。慎重を期してあえて登板間隔を空けていた首脳陣に対して、『中6日でいけます』と自分から通常のローテで投げると言ってきたこともあるくらいです」

 この日のストレートの平均球速は約160キロ。飛び抜けた球速だが、本人によれば「脱力しながらストライク先行で投げることができた」そうだ。

「本人は7~8割の力の入れ具合で投げているようです」と別のロッテOBがこう言う。

「あえて力をセーブしているのは制球を重視していることに加えて、肩や肘がまだ10割の力に耐えられないという自覚が本人にあるからでしょう」

 7~8割の感覚で164キロとは、肩肘がいま以上に強化されたら、一体、どれだけのスピードボールを投げるのか。末恐ろしい限りだ。

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