山田隆道
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山田隆道作家

1976年、大阪生まれ。早大卒。「虎がにじんだ夕暮れ」などの小説を執筆する他、プロ野球ファンが高じて「粘着!プロ野球むしかえしニュース」などの野球関連本も多数上梓。各種スポーツ番組のコメンテーターとしても活躍中。

「え、あれが入るの?」阪神・佐藤輝明に感じたロマンを思い出した左翼への一発

公開日: 更新日:

 先週土曜(7月30日)のヤクルト戦で阪神佐藤輝明が放った第16号ホームランには胸が躍った。打った瞬間はレフトライナーかと思うような低い弾道がぐんぐん伸びて甲子園の左翼席に着弾。

「え、あれが入るの?」と思わず目を丸くしてしまった。

 右翼席や右中間の奥深くに飛び込む目が覚めるような大ホームランも痛快だが、佐藤の一番の魅力はこれだと思う。大山悠輔のホームランは白球を豪快に引っ張り上げて、打った瞬間それとわかるような美しいアーチを描くことがほとんどであるのに対して、佐藤はしばしばこういう驚弾を放つことがある。今年4月9日の広島戦で放った第2号ホームランも、逆方向への低いライナーが甲子園のレフトポール際に飛び込んだものだ。

 左打者の逆方向ホームランといえば往年のミスタータイガース・掛布雅之の名言「左に引っ張る」を思い出すが、佐藤のそれは掛布よりもはるかに軽打しているように見える。左に引っ張ったのではなく、左に合わせた打球がスタンドに入っちゃったという感じだ。

 思えば昨年のルーキーイヤー、私が佐藤の出現にとてつもないロマンを感じたのは(佐藤のことを怪物だと確信したのは)、オープン戦でのことだった。12試合に出場し、打率3割2厘、6本塁打、9打点と新人離れした好成績を残したことは周知の通りだが、個人的にもっとも衝撃的だったのは6本塁打のうち4本が左方向だったことだ。このころの佐藤は先述した「え、あれが入るのか?」といったホームランをよく打った。軽いスイングで逆方向に合わせたような低い打球があれよあれよという間に左翼席に飛び込むのだ。

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