怪物はもう出ない…佐々木朗希の登板回避問題が変えたもの「甲子園と令和の怪物」著者が語る

公開日: 更新日:

 甲子園で行われている第104回全国高等学校野球選手権大会。甲子園の歴史は「怪物」の歴史でもあった。江川卓、松坂大輔、田中将大……。彼らは絶対的なエースとしてチームを背負い、球史に名を刻んだ。

 しかし、彼らのような怪物が今後出てくることはないという。そのきっかけとなったのが、2019年に起きた佐々木朗希(当時大船渡、現ロッテ)の登板回避問題だ。先日、「甲子園と令和の怪物」(小学館新書)を上梓した、著者の柳川悠二氏に話を聞いた。

 ◇  ◇  ◇

 ──2019年の夏は佐々木朗希の登板回避問題が社会現象にもなった。

「大船渡高の国保陽平監督(当時)が岩手大会の決勝戦、『故障を防ぐため』という理由で佐々木を投げさせなかったという判断については、異論はありません。ただ、議論の余地が生まれてしまったのも確かです」

 ──当時は「決勝戦から逆算して起用すべきだった」など、さまざまな意見があった。

「4回戦で194球を投げ、準決勝では129球の完封勝利。その翌日が決勝戦でした。例えば明徳義塾(高知)の馬淵監督は、以前から『途中で負けるのも決勝で負けるのも一緒』という考えの下、高知大会では決勝戦から逆算して途中までエースを登板させないこともある。ただ、大船渡高校は甲子園強豪校ではなく、しかも公立校。国保監督も経験が豊富なわけではない。そうなると、なかなか先を見据えて逆算……という判断は難しいのではないのでしょうか」

 ──柳川さんは別の視点から、この登板回避問題を取り上げていました。

「当時、僕が問題視したのは花巻東との決勝戦の先発が5番手投手だった上、その彼を6回9失点まで引っ張ったこと。そして何より、佐々木が先発しないどころか、決勝戦に出場すらさせないという判断を国保監督が事前にナインに詳しく説明しなかったことです。はなから勝負を諦めているような戦い方を疑問視しました」

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • 野球のアクセスランキング

  1. 1

    「おまえになんか、値がつかないよ」編成本部長の捨て台詞でFA宣言を決意した

  2. 2

    契約最終年の阿部巨人に大重圧…至上命令のV奪回は「ミスターのために」、松井秀喜監督誕生が既成事実化

  3. 3

    大谷翔平も目を丸くした超豪華キャンプ施設の全貌…村上、岡本、今井にブルージェイズ入りのススメ

  4. 4

    ドジャース佐々木朗希の心の瑕疵…大谷翔平が警鐘「安全に、安全にいってたら伸びるものも伸びない」

  5. 5

    「えげつないことも平気で…」“悪の帝国”ドジャースの驚愕すべき強さの秘密

  1. 6

    「対外試合禁止期間」に見直しの声があっても、私は気に入っているんです

  2. 7

    査定担当から浴びせられた辛辣な低評価の数々…球団はオレを必要としているのかと疑念を抱くようになった

  3. 8

    ドジャースが村上宗隆獲得へ前のめりか? 大谷翔平が「日本人選手が増えるかも」と意味深発言

  4. 9

    巨人が現役ドラフトで獲得「剛腕左腕」松浦慶斗の強みと弱み…他球団編成担当は「魔改造次第」

  5. 10

    西武にとってエース今井達也の放出は「厄介払い」の側面も…損得勘定的にも今オフが“売り時”だった

もっと見る

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    「おまえになんか、値がつかないよ」編成本部長の捨て台詞でFA宣言を決意した

  2. 2

    福山雅治&稲葉浩志の“新ラブソング”がクリスマス定番曲に殴り込み! 名曲「クリスマス・イブ」などに迫るか

  3. 3

    年末年始はウッチャンナンチャンのかつての人気番組が放送…“復活特番”はどんなタイミングで決まるの?

  4. 4

    「えげつないことも平気で…」“悪の帝国”ドジャースの驚愕すべき強さの秘密

  5. 5

    やす子の毒舌芸またもや炎上のナゼ…「だからデビューできない」執拗な“イジり”に猪狩蒼弥のファン激怒

  1. 6

    羽鳥慎一アナが「好きな男性アナランキング2025」首位陥落で3位に…1強時代からピークアウトの業界評

  2. 7

    【原田真二と秋元康】が10歳上の沢田研二に提供した『ノンポリシー』のこと

  3. 8

    査定担当から浴びせられた辛辣な低評価の数々…球団はオレを必要としているのかと疑念を抱くようになった

  4. 9

    渡部建「多目的トイレ不倫」謝罪会見から5年でも続く「許してもらえないキャラ」…脱皮のタイミングは佐々木希が握る

  5. 10

    ドジャース佐々木朗希の心の瑕疵…大谷翔平が警鐘「安全に、安全にいってたら伸びるものも伸びない」